筆者も出張先などでふらりとスナックに立ち寄ることが多いが、そこでその土地にしかないおつまみや家庭料理、ユニークな食材に出会うことが多々ある。
しかし、このようなスナックの魅力もさることながら、観光産業の牽引役となる最大の理由は(3)「『英国のパブ』のように全国どこにでもあるので地方へ『誘客』しやすい」ことである。
今さら説明の必要もないが、スナックは日本全国どこにでもある。どんなに小さな街であっても、1軒や2軒は自宅の一角でやっているような、ひなびたスナックがあるものだ。キャバクラやクラブがなくともスナックは必ずある。
さまざまな説があるが、スナック研究会代表で首都大学東京の谷口功一教授が全国のタウンページを調べたところ、2015年時点で約10万軒あったという。
これは冷静に考えると、スゴいことではないか。コンビニや牛丼のように大手がフランチャイズで全国展開をしているわけではなく、それぞれの地域で自然発生的に同じ業態が広がっている。それでいてスナックは単なる「バー」「酒場」ではないので、個性があってひとつとして同じ店はない。
「スナックはママがすべて」という言葉があるように、そのママの個性によって店の雰囲気は決まるし、バイトの女の子たちのキャラクター、客層も大きく変わってくる。つまり、日本のスナックというのは、ママの数だけ多様性に富んでいるのだ。
インバウンド戦略は「多様性」が大事だ。中国人にウケるコンテンツだけではなく、欧米人が好むコンテンツも整備する。「何度来ても新しい発見があるな」と思わせることがリピーターをつくる。そういう意味では、多様性のあるスナックは、インバウンド戦略にうってつけなのだ。
「言わんとしていることは分かるが、しょせんは飲み屋だから楽しんでもらえないんじゃない」と思うかもしれないが、海外でそんなぬるいことはいわず、こういう条件がそろっていれば観光資源として活用している。
分かりやすいのが、英国のパブだ。
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