実はパブはスナックとよく似ている。ただ、酒を飲む店ではなく、地域の人々が集ってイベントをしたり、みんなでスポーツ観戦をしたりする。パブリック・ハウス(Public House)の略だけあって、スナック同様に「地域の人々と触れ合う場」になっている。
また、英国全土のどこにでもある。英国統計局(ONS)によれば、19年のパブの軒数は3万9130軒。コロナ禍でだいぶ減少してしまったが、人口1人当たりで見れば日本のコンビニと同じくらい「どこにでもある」のだ。
ただ、ひとつ違うのは英国のパブは国が「文化」として位置付けており、「観光資源」として活用している。実際、英国に旅行をした人ならば「素顔の英国人と触れ合える」ということでパブに寄ったことも多いはずだ。地域によってレイヤーはあるものの、パブは地元の人々だけではなく、外国人観光客が訪れて「英国文化」を体験する場なのだ。
さて、こういうパブの事例を聞くと、日本政府がスナックを「日本文化」として売り出して、観光資源として活用しても何らおかしくはないと思わないか。
例えば、全国のスナックで「外国人観光客OK」のところを呼びかけて、大丈夫だという店はデータベースにして、外国人観光客がアプリですぐに検索、予約ができるようにして「全国スナックめぐり」をコンテンツとして売り出すのだ。
インバウンドの課題は、東京や大阪などの大都市だけに集中してしまうことなので、全国に点在しているスナックを訴求することで、外国人観光客を地方観光へと「誘導」していく狙いもある。
ただ、一番のネックは「言語」の問題だ。地方のスナックなどはかなり高齢のママもいて、外国人とのコミュニケーションが不安な人もいる。しかし、それは例えば、国が「スナック英会話マニュアル」をまとめて地方自治体を介して、全国に配布する。今は翻訳アプリなどがあるので、それの夜の街バージョンをつくってレンタルしてもいい。
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