大阪のメインストリートである御堂筋沿いには多くのオフィスが並ぶほか、御堂筋に沿った心斎橋筋商店街は常に多くの買い物客でにぎわい、西日本屈指の商業地域としても知られる。この「御堂筋エリア」から、通称「ミナミ」と呼ばれる大阪市南部の中心「難波エリア」も、梅田と同様に再開発のつち音が鳴りやまない地域である。
そうした再開発事業の中でも特に注目されるのは、御堂筋北側の「淀屋橋地区再開発」と、南側の「南海難波駅前再整備事業」(車道の広場化)だ。
そのうちの淀屋橋地区の再開発は、御堂筋を挟むかたちで東西にツインタワーを建設するものだ。
御堂筋東側の事業主体は日本土地建物と京阪HDで、建物の規模は地上31階建・地下3階建・高さ150メートル。そして西側の事業主体は大和ハウス工業・住友商事・関電不動産開発、そしてミズノ・白洋舎などの地権者組合で、建物の規模は地上29階建て・地下2階・高さ135メートル。25年の全事業完成を目指している。淀屋橋駅と直結され、両ビルの下層階には商業施設が、また東側のビルには空中庭園や展望テラスが設けられるということで、観光客にも親しまれる施設となりそうだ。
御堂筋の北では超高層ビルの建設が進む一方、南端である南海難波駅前では「歩行者に優しい街づくり」を目指して車道やタクシー乗り場の広場化が進められている。新たに広場となるのは高島屋大阪店(本店)となんばマルイ(丸井)に挟まれた約2000平方メートル。広場内には観光案内所を設置するほか、カフェなども誘致する計画で、23年内にも一部が完成する予定だ。
大阪のメインストリートだけあって、御堂筋エリア・難波エリア周辺ではこのほかにも数多くの大型再開発計画があり、19年から20年にかけて完成した大丸心斎橋店(しんさいばしみせ)建て替え・リニューアル事業、今年7月に完成した南海難波駅南側再開発「なんばパークスサウス」など近年完了したものも複数ある。
このうち、大丸心斎橋店は歴史的建造物の一部を維持しながらの建て替えであることが話題を呼んだが、今後は同店と同じく戦前の大型ビルとして知られる「大阪瓦斯ビルヂング」(大阪ガス本社)でも旧来の建物を維持するかたちで再開発を行う予定となっている。
さらに、御堂筋では側道跡を利用した歩道拡幅工事も実施中だ。将来的には御堂筋全体を歩行者専用道路に刷新することも検討されており、南海難波駅前の広場化とあわせてエリア全体が「歩いて楽しめる地域」へと姿を変えつつある。
今回紹介した「大阪駅周辺(梅田)」「中之島」「御堂筋」「難波」はいずれも大阪市の都心エリアにあたる。大手企業が参画するかたちで超高層ビルを核とした大型開発が多い一方、常に多くの人が集まる地域ゆえ、公園・文化施設や歩行者空間の整備といった「人に優しい街づくり」を標榜した「都市環境の再構築」といえるべきものも複数見られる。
後編では、都心エリアから少し離れた都心の辺縁部・副都心にあたる「天王寺・阿倍野」「大阪城公園(OBP)」「臨海部」における開発プロジェクトについて、その概要と特徴を探っていきたい。
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