大阪の街並みが大きく変わろうとしている。大阪府と大阪市では現在「大阪7大再生プロジェクト」と題し、大阪市内の「大阪駅周辺(梅田)」「中之島」「御堂筋」「難波」「天王寺・阿倍野」「大阪城公園(OBP)」「臨海部」の7地域において官民一体による都市再生事業を推し進めている。
各エリアごとの特徴を探っていくと、単に高層ビルを乱立させるのではなく、都市環境そのものを再構築しようとしている様子が見えてくる。
大阪の街並みはこれから、どんな変貌を遂げていくのか――。前編では、大阪市の都心エリアにあたる「大阪駅周辺(梅田)」「中之島」「御堂筋」「難波」の開発プロジェクトとその特徴を見ていこう。
都市商業ライター。大分県別府市出身。
熊本大学・広島大学大学院を経て、久留米大学大学院在籍時にまちづくり・商業研究団体「都市商業研究所」に参画。
大型店や商店街でのトレンドを中心に、台湾・アニメ・アイドルなど多様な分野での執筆を行いつつ2021年に博士学位取得。専攻は商業地理学、趣味は地方百貨店と商店街めぐり。
アイコンの似顔絵は歌手・アーティストの三原海さんに描いていただきました。
大阪の顔であり、通称「キタ」と呼ばれる大阪駅周辺(梅田)エリア。2000年代は大阪駅ビルや阪急百貨店うめだ本店の建て替え・リニューアルなどが行われてきたが、10年以降はその北側にあたる梅田貨物駅跡地、通称「うめきた地区」の再開発が活発化している。
13年にはJR大阪駅に直結する先行開発地区「うめきた1期エリア」に地上38階・地下3階建て・高さ179メートルの「グランフロント大阪」が開業。今年(23年)3月には旧貨物駅西側を通っていたJR東海道線支線の地下化が完成し、地下部分にJR大阪駅の新ホーム(うめきた新駅)も開業した。
現在、うめきた地区では24年秋の一期先行開業を目指して「うめきた2期エリア」こと「グラングリーン大阪」(GRAND GREEN OSAKA)の開発を進めている。
「関西最後の一等地」と言われるうめきた2期エリアの開発主体は、三菱地所・大阪ガス都市開発・オリックス不動産・関電不動産開発などのJV(ジョイント・ベンチャー:共同企業体)。開発地区面積は大阪ドーム約2.7個分にあたる約9万1150平方メートルと広大。敷地内には約4万5000平方メートルの都市公園「うめきた公園」(24年秋先行開業)が設けられるほか、地上51階建て・高さ185メートルのタワーマンションをはじめ、阪急阪神グループのホテル、大型オフィスなどを建設する計画だ。
うめきた地区だけではなく大阪駅南側における再開発計画も目白押しだ。22年には大阪北小学校跡地再開発による住友不動産の地上56階建て・高さ192メートルの複合ビル「梅田ガーデン」、阪神梅田本店(大阪神ビル)の建て替えによる地上38階・地下3階建て・高さ189メートルの「大阪梅田ツインタワーズ・サウス」が相次ぎ完成。
さらにJR大阪駅に隣接する大阪中央郵便局跡地には24年春の開業を目指して日本郵便、JR西日本、大阪ターミナルビル、JTBなどにより地上39階・地下3階建て・高さ188メートルの「JPタワー大阪/KITTE大阪」の建設が進んでいる。ほかにも、大阪新阪急ホテル、大阪マルビル、梅田OSビル・大阪日興ビル・梅田セントラルビルなど複数個所で再開発計画が進められており、今後も目を離せそうにない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング