AFEELAは車内、車外に45個のセンサーやカメラを搭載し、常に情報が流れ込む。センサーとシステムの間に事前処理(エッジ処理)のチップを置く場合もあるだろうが、いずれにしろ膨大なデータを処理しなければならない。
それらのデータをアプリが活用するとなれば、さらにデータを別チップで処理するといったことや、目的を定めた専用処理チップが欲しくなるところだ。それゆえ「独自に半導体を設計することはないの?」という質問が出てくるのだが、川西氏はそこで無理に背伸びはしない。「(車載向け半導体で)3ナノや5ナノのプロセスを使って独自チップを設計、調達というのは現実的ではない」(川西氏)
もし独自チップを作るなら、クアルコムと共同開発するSoCと組み合わせる何らかのチップとなる。しかし、独自性が高く開発者にとってより魅力あるものにAFEELAを仕上げるには、メインのSoCに独自チップを統合したい。
だから「(異なるプロセスでも仕様を決めておけば接合できる)チップレットの採用は検討してないの?」と、半ば冗談で尋ねたのだが「それがチップレットの話はあるんですよ」と極めて敏感に反応した。
車載向けに内部回路が二重化されたSoCに、チップレットで別の処理モジュールを統合するには「統合する処理回路の二重化をどうするか?」など大きな問題があるというが、それでも検討を続けているのには理由がある。
「『5G回線でファームウェアをアップデートする』と言葉でいうのは簡単です。でもセキュリティアップデートはともかく、アップデートで機能を向上させる、新しい付加価値を出すなんてことをやるには、そもそもハードウェアの限界が高くなければなりません。ハードウェアの処理性能が低く、データ帯域なども限界が低いと、いくら工夫してもできることには限りがあります。それでは開発者のモチベーションも上がりません」(川西氏)
グループインタビューでは「中国製EVはAndroidアプリを動かせるように対応している。上海などのモーターショーでは、そのような日本メーカーに対する先進性が注目されているが……」といった指摘もあった。しかし川西氏が「スマホと同じアプリが動いても、それはもうスマホ開発ですでにやってきたことなので」と答えた。
「スマホだけではありませんが、他のデバイスと同じアプリが動いたからといって、EVならではの価値にはならないですよね」(川西氏)
例えばAFEELAはプレイステーション5のリモートプレイが可能になるとされているが、車内でプレステが遊べるといっても、それはプレステの価値でしかない。AFEELAで作る新しいプラットフォームの一部機能ではあるが、新しい付加価値とはいえない。たとえUE5を軽々と動かすSoCを搭載しリッチなゲームを動かしたところで、それはプレステの価値を借りてきただけにすぎないというわけだ。
一方、そんなに高性能で急進的なハードウェアをEVに搭載したとして、ユーザー数が急拡大するとは考えにくい初期のAFEELA向けに、誰がアプリ開発を行うのかという話が出てくる。
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