開発者を魅了する!? ソニーとホンダのEV、狙いはどこにあるのか本田雅一の時事想々(3/3 ページ)

» 2023年10月23日 17時00分 公開
[本田雅一ITmedia]
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 しかし初期のプレステを考えてみてほしい。ゲーム機というのは、全く新しいコンセプトのプラットフォームを立ち上げるとき、対応コンテンツは“ほぼゼロ”だ。近年こそ過去の資産を引き継いで立ち上げるようになっているが、プラットフォームを一新するのであれば、基本はゼロから立ち上げなければならない。

 そこで重要になるのが「どんなことができるの?」「楽しませてくれるの?」という「エンジニアが遊べる余裕がどこまであるか」だ。全く新しい基盤に更新するとき、その部分で「明らかに他とは違う魅力」(川西氏)を盛り込むのがソニー・ホンダモビリティの戦略だ。

photo s車内外に45個のセンサーやカメラを搭載=公式サイトより
photo 2026年春に北米から納車が始まる予定=公式サイトより

「クルマとしての基本」を守ることは大前提

 こんなことを書いていると「ああ、AFEELAってゲーム機みたいなものか。そんな自動車を売って本当に大丈夫?」という人もいるはずだ。

 だからこそソニーはホンダと組んで、ソニー・ホンダモビリティというベンチャーを作ったわけだ。そもそもソニー自身も世界中の自動車メーカーにイメージセンサーやLiDARなどのセンサー部品、それらのセンサーの信号処理を行うソリューションを販売するサプライヤーでもある。

 安全・安心というクルマとしての基本は当然踏襲し、また車内エンターテインメント(オーディオ機能や映像機能)も整えた上で……というより、そんなことは大前提で、さらに「こんなこともできるぜ」「こんな可能性がある」と、EVの中で実現するソフトウェアプラットフォームとしてワクワクを感じさせるものにしている。

photo 発表会で筆者撮影

 24年1月のCESでは、そうしたコンセプト、ビジョンの一部が披露されるという。

 川西氏によると、45個のセンサーが走行時に集めるデータを保存しておき、充電時にバックグラウンドで事前処理。何らかの形でクラウドにアップロードし、クラウド内の地形・地点データなどを機械学習させるアイデアも実装予定だ。

 毎日鍛えることで個性あふれるAFEELAに成長させるアイデアもあるようだが、サードパーティーに対して、クラウドの地形・空間データとオーバーレイできるコンテンツの提供も考えているとか。どのようなものになるのか。今から楽しみで仕方がない。

著者紹介:本田雅一

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ジャーナリスト、コラムニスト。

スマホ、PC、EVなどテック製品、情報セキュリテイと密接に絡む社会問題やネット社会のトレンドを分析、コラムを執筆するネット/デジタルトレンド分析家。ネットやテックデバイスの普及を背景にした、現代のさまざまな社会問題やトレンドについて、テクノロジー、ビジネス、コンシューマなど多様な視点から森羅万象さまざまなジャンルを分析・執筆。

50歳にして体脂肪率40%オーバーから15%まで落としたまま維持を続ける健康ダイエット成功者でもある。ワタナベエンターテインメント所属。


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