難波宮や大阪城のお膝元である大阪城公園(京橋)エリア。近代は東洋一の兵器工場「大阪砲兵工廠」(陸軍造兵廠大阪工廠)や陸軍第四師団の本部がある「西日本屈指の軍都」として、そして再開発が進んだ1980年代以降は「大阪ビジネスパーク」(OBP)を擁する「西日本屈指の高層オフィス街」として、常に時代の最先端を歩んできた。
大阪城公園エリアにおける開発の目玉となるのが、大阪メトロ谷町四丁目駅近くにある「難波宮跡公園」とその周辺の整備事業だ。
難波宮が都となっていたのは645年から793年。明治以降は砲兵工場(陸軍造兵廠)があったことから発掘が進まず、史跡公園となったのは1960年代のことだった。
現在の難波宮跡公園内は大極殿の基壇などが復元されるにとどまっており、訪れる観光客も多くなかった。そこで、大阪府と大阪市は難波宮跡公園を積極活用すべく、万博が行われる25年までの完成を目指して公園全体のリニューアルを実施。案内を増やすなど史跡としての充実を図るほか、Park-PFI(17年の都市公園法改正によって設けられた公園内に飲食店など民間事業者の収益施設設置を促進する制度)によってカフェなども整備する計画で、事業者としてNTT都市開発が選定されている。
この難波宮跡公園の隣接地にあったNTT西日本本社跡には地上20階建て・高さ約102メートルの大型ホテルの建設が進む。大阪市は隣接する大阪城公園や大阪歴史博物館とともに地域を盛り上げ、歴史観光スポットとして世界中の観光客の誘致を目指すとしている。
先述した通り大阪城公園エリアはかつて「軍都」としての顔も持っており、大阪城公園内では「陸軍第四師団本庁舎」(のち博物館、博物館は移転)をリニューアルした「ミライザ大阪城」(17年開業)をはじめ、いくつもの戦争遺産が遺されている。これらの中には旧大阪砲兵工廠化学分析場をはじめとした未活用のものもあり、今後はこうした施設の再活用も期待される。
このほか、京橋駅前ではイオングループによる「ダイエー京橋店」(イオン京橋店)跡地の大型再開発も検討されている。同店は建て替えのため19年に閉店したものの、23年時点では新たな大型建物は建てられておらず、平面駐車場や公園「フラリキョウバシ」(今夏一部開業、秋グランドオープン予定)として暫定的に活用されている。大阪の東のターミナルに隣接する一等地であるため、地元からは早期の再開発を求める声があがっており、今後の動きが注目される。
大阪城公園・OBPエリアにおける開発は、大阪城はもちろんのこと難波宮跡・戦争遺産・ダイエー跡などといった「地域資源の活用」がカギになっているといえよう。
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