朝食メニューを強化したところ、客数や売り上げに好影響が出た外食チェーンがある。とんかつチェーン「松のや」、ハンバーグレストラン「びっくりドンキー」のケースをレポートする。
松屋フーズホールディングスが展開するとんかつ専門店「松のや」は2010年前半から出店を加速し、現在は300店舗(併設店含む)を達成している。揚げ物がメインの業態で、「ロースかつ丼」(630円、並盛)や「ロースかつ定食」(590円)などを提供している。
朝食メニューは松のやが登場した当初から提供されていた。グループの牛丼チェーン「松屋」を模倣して目玉焼き、焼魚というラインアップのみだったが、「朝だけ特別に得する」という名目で「得朝」の名前を冠した「得朝ロースかつ定食」(530円、店舗限定メニュー)を投入。現在は、朝食カテゴリで注文数1位の「得朝ソーセージエッグ定食」(430円、同)と同程度の支持を得ているという。
そんな松のやが21年2月から販売を開始したのが、250円という安さが武器の「玉子かけご飯定食」だった。ごはん、みそ汁、玉子、のり、選べる小鉢(コロッケ、お新香、納豆、冷奴)という構成となっている(23年9月、人件費や原材料などの高騰を受け280円に値上げ)。
提供を開始した背景について同社の広報担当者は「松のや業態の弱みは、松屋などの牛めし業態と違い、日常食(毎日食べられる)ではないところです。揚げ物を毎日食べたいとはなかなか思えませんが、朝時間帯はリピート率が高いという特徴があります。松のやではとんかつの朝定食も準備していますが、少しでも毎日来ていただきたいという背景から玉子かけごはん定食は生まれました」と説明する。
お腹いっぱい食べたいという利用客のニーズに対応するため、現在は161店舗でごはん・みそ汁おかわり無料としており、支持されているという。同社では今後もおかわり無料店舗を拡大していく方針だ。
このように朝食メニューを強化した結果、コロナ禍対比で、朝定食販売時間帯の売り上げは大きく伸びているそうだ(数字は非開示)。全時間帯でみても、コロナ禍前対比で大きく売り上げが伸びているのが「朝」だという。担当者は「周囲の飲食店が値上げすればするほど、それに比例するように売り上げが伸びており、(朝定食の)価値が上がっているのではないか? と考えています。今後も、お客さまのご期待に応えられるよう、この価格帯の維持を可能な範囲で続けていきたいです」と語る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング