「はま寿司」に続き「スシロー」も“デジタル回転寿司” DX専門家に聞く業界の行方長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/4 ページ)

» 2023年10月31日 10時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

 FOOD & LIFE COMPANIESの子会社・あきんどスシローが経営する回転寿司チェーン「スシロー」は、バーチャル上で寿司を回転させる新システム「デジロー」(デジタル スシロー ビジョン)を、今秋に展開し始めた。9月21日に江坂店(大阪府吹田市)で初導入。さらに同月中には新宿西口店(東京都新宿区)、10月にも天白焼山店(名古屋市)へと、相次ぎ試験導入を進めている。

新システム「デジロー」導入したスシロー新宿西口店(筆者撮影、以下同)
デジロー導入店舗

 実はゼンショーホールディングス傘下のはま寿司が経営する「はま寿司」でも、4月にごく一部の店舗で同様のシステムを導入していた。一部SNSでは「非常に画期的な超ハイテク回転寿司だ」と話題になった。はま寿司の広報に問い合わせたところ、同社では「レーンオーダー」と呼んでいるとのことだ。

 スシローのデジローも、はま寿司のレーンオーダーも、バーチャル上のレーンを回転する寿司の画像をタッチすると、注文画面が出現してオーダーできる形式だ。「回るタッチパネル」といった感じで、従来あった注文用タッチパネルの進化形ともいえるだろう。注文した寿司は、ただちに厨房で握られ、テーブルに直送するレーンで届けられる。

 この、厨房から席まで寿司を直送するレーンを、スシローでは「オートウェイター」、はま寿司では「ストレートレーン」と名付けている。つまりスシローのデジロー・オートウェイター、はま寿司のレーンオーダー・ストレートレーンは、ほぼ同様のシステムであり、ワンセットで機能している。

スシローのオートウェイター

 両社が展開する“デジタル回転寿司”は、はたしてどのように回転寿司の近未来を先取りしているのか。導入に至るこれまでの経緯とともに、専門家の意見なども交えながら考察する。

はま寿司もデジタル回転寿司を導入

迷惑動画が回転寿司各社を襲った

 1月、スシローの店舗で卓上に置かれた醤油差しの注ぎ口をなめて、元の場所に戻す動画がSNSで拡散された。それを見た人からは「不潔だ」「もう回転寿司には行けない」といったコメントが相次いだ。

 被害を受けたのはスシローだけではない。同じタイミングで、はま寿司や「くら寿司」「すし銚子丸」などでも、レーンを流れる寿司を指でつついたり、一度取った皿をレーンに戻したり、さまざまな悪質行為の動画が拡散。回転寿司業界で顧客離れが起こった。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.