診療所は儲けすぎ? 病院や中小企業を上回る経常利益率8.8%(1/2 ページ)

» 2023年11月20日 13時58分 公開
[産経新聞]
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 財政制度等審議会が20日にまとめた令和6年度予算編成に向けた建議では、診療所の診療単価を5.5%程度引き下げる提言が目玉になった。財務省は診療所の4年度の経常利益率が平均8.8%だったことを示し、公定価格で賄われているにもかかわらず、もうけすぎだと指摘している。

「異様」な収益性

 「状況が良い診療所の収益を守るのか、勤労者の手取りを守るかの国民的な議論をお願いしたい」。財政審分科会の増田寛也会長代理は20日の会見でこう強調した。

 診療報酬は患者が公的医療保険を使って医療サービスを受けた際に病院や薬局などに支払われる公定価格で、2年に1回改定する。6年度は改定年度で、年末の予算編成過程で改定率が決まる。

東京・霞が関の財務省

 財務省が今回、マイナス改定の提言の根拠としたのが、全国38都道府県の約2万2千の医療法人に対する2〜4年の経営状況調査だ。

 入院医療は提供せずに診療所のみ運営する約1万8千カ所の平均の経常利益率は、2年度に3.0%、3年度7.4%、4年度8.8%。この数字は20以上の病床を持つ病院の5.0%より高く、中小企業の平均3.4%を大きく上回る。診療所の院長の給与約3千万円を差し引いた後の利益であり、「異様だ」と財務省幹部は指摘する。

 財務省は診療所の患者数が微減傾向なのに診療所数が一貫して増加しているのは、激務の病院の勤務医がもうかりやすい診療所に流れているとみる。「病院勤務医が不足し、さらに激務になる悪循環を解決するためにも診療所の報酬単価を切るべきだ」と主張する。

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