コロワイドによる買収で「大戸屋」はどう変わった? 「離脱者層」呼び戻しで“がっつり”メニュー投入か総菜業態・冷食にも注力(1/3 ページ)

» 2023年11月25日 05時00分 公開
[山口伸ITmedia]

 大戸屋に行ったことはあるものの、最近は利用していないという人も多いのではないか。筆者もその一人である。大戸屋ホールディングスの業績を振り返ると、2018年度から客離れが進行しており、売上高は22〜23年3月期が復調傾向とはいえ、18年3月期に記録した約262億円を超えるに至っていない。客離れの主な要因は、値上げにあるだろう。

 20年に飲食大手のコロワイドが大戸屋ホールディングスに対する敵対的TOB(株式公開買い付け)を敢行し、経営陣を刷新した。買収後は「離脱者層」の呼び戻しを目的にさまざまな施策を行っており、一定の成果を出しているようだ。本記事では、近年における大戸屋の経営状況とコロワイドの戦略についてまとめていく。

近年の大戸屋の経営状況をまとめていく(出所:ゲッティイメージズ)

ルーツは池袋の定食店 2階出店も奏功して人気を拡大

 飲食チェーンの大戸屋は、創業者である三森久実氏の父が池袋で営んでいた食堂をルーツに持つ。事業承継後、店舗網の展開を目指して1983年に大戸屋として法人化した。その後、92年に改装した吉祥寺の店舗をモデル店としながら、店舗数を拡大。00年代にはタイ・台湾・香港などアジアの国や地域に進出し、10年に大阪証券取引所(JASDAQ市場)へと上場した。

ルーツは池袋に構えていた「大戸屋食堂」だ(出所:大戸屋公式Webサイト)

 現社名へと商号を変更したのは11年。その後も、比較的安い店内調理の定食を売りにしながら店舗数を増やし、11年3月期から18年3月期までに売上高は約172億円から約262億円へと拡大した。

 街場の定食屋は入りにくい一方、チェーン店なら気軽に入れる。安い和定食のチェーン店としての地位を確立し、高い認知度を得たことが成功の主要因と考えられる。2階に店舗を構えていることも多く、食事しているところを見られないで済むなど、女性に配慮した設計をしている点も伸びた要因の一つといわれている。

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