職場の前提が“社員は休まない” “社員の時間は独占できる” “社員は辞めない”だった『束縛の時代』は、そのルールでの勝者を生み出しました。いま経営者や管理職としてマネジメントする側にいるのは、休まず働き続け、長時間労働をいとわず常に仕事を最優先し、どんな理不尽な仕打ちにも耐え抜き辞めないことで評価を高めてきた『束縛の時代』の勝者たちです。
ところが、いま職場は『束縛の時代』から『解放の時代』へ180度転換しようとしています。社員は休むし、時間は独占できないし、辞めるのです。マネジメントを刷新しなければ、ミスマッチが起きるのは必然です。
『束縛の時代』から『解放の時代』へ転換したとしても、変わらないことがあります。それは、マネジメントの目的です。マネジメントは、組織の成果を最大化させるために行われます。経営者や管理職は成果を出してきたことで認められ、これからも成果を出していくことを期待されて、そのポジションに就いているはずです。
ところが『束縛の時代』に成果を出してきた経営者や管理職は、当時の記憶が成功体験としてこびりついています。そのため「簡単に仕事を休むな」「24時間仕事のことを考えろ」「辞めずに頑張れば道は開ける」といった叱咤激励をしがちです。
それらは、真剣に社員のことを思っての言葉なのかもしれません。また、仕事能力を高める上で、一定の量をこなし時間を費やすのも有効な方法の一つではあるのだと思います。しかし『解放の時代』に求められるマネジメントは、そんな『束縛の時代』の延長のようなマネジメントではありません。
職場の前提がひっくり返るほど異次元の変化が起きている中、経営者や管理職に求められるのは異次元のマネジメント改革です。『解放の時代』に組織の成果を最大化させるためには、社員が休み、ワークライフバランスをとり、辞めたとしても、成果が出せるような仕組みをつくる必要があります。いま経営者や管理職に求められているのは『束縛の時代』とは手法も難易度も違う、全く異質なマネジメントなのです。
経営者や管理職が職場環境の変化を受け入れず、過去の成功体験を引きずり、マネジメント改革から目を背けているとしたら、その姿勢は甘えと受けとられるかもしれません。かつての感覚のまま「仕事を休むのは甘えだ!」などと頭ごなしに社員をののしれば、その行為はブーメランとなって自身に返ってくるかもしれません。
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