台風でも出社……テレワークできない企業が抱える3大リスク働き方の見取り図(1/4 ページ)

» 2023年08月29日 07時00分 公開
[川上敬太郎ITmedia]

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 今年初めて日本に上陸した台風7号。暴風雨が吹き荒れる中でも、オフィスに出社しなければならない人たちがいました。

 「家を出た瞬間に傘が壊れた」「臨時休業や自宅待機がうらやましい」「出勤は控えるべき」――。SNS上では、身の危険を感じながら出社せざるを得ない状況を嘆く声が多く上がりました。

 一方で、出社しなくてよかった人たちからは「今日は出勤できないので在宅勤務」「こういう時に在宅できてありがたみを感じる」――と対照的な意見が見られました。

 テレワークできる職場のメリットと、できない職場のデメリット。今回の台風で改めてその明暗がはっきりと表れました。コロナ禍を経て一度は根付いたテレワークですが、出社回帰が急速に進んでいます。

 日本生産性本部の調査によれば、2023年7月のテレワーク実施率は15.5%。最も高かった20年5月の31.5%からほぼ半減しています。直近3回の数値も、17.2→16.8→15.5%とジリジリ下降を続けています。コロナ禍を機に職場も働き手も多くがテレワークの意義を実感したにもかかわらず、出社回帰が進んでいるのはなぜでしょうか。

出社回帰が進んでいるのはなぜなのか。写真はイメージ(ゲッティイメージズ)

著者プロフィール:川上敬太郎(かわかみ・けいたろう)

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ワークスタイル研究家。1973年三重県津市出身。愛知大学文学部卒業後、大手人材サービス企業の事業責任者を経て転職。業界専門誌『月刊人材ビジネス』営業推進部部長 兼 編集委員、広報・マーケティング・経営企画・人事部門等の役員・管理職、調査機関『しゅふJOB総合研究所』所長、厚生労働省委託事業検討会委員等を務める。雇用労働分野に20年以上携わり、仕事と家庭の両立を希望する“働く主婦・主夫層”の声のべ4万人以上を調査したレポートは200本を超える。NHK「あさイチ」他メディア出演多数。

現在は、『人材サービスの公益的発展を考える会』主宰、『ヒトラボ』編集長、しゅふJOB総研 研究顧問、すばる審査評価機構株式会社 非常勤監査役、JCAST会社ウォッチ解説者の他、執筆、講演、広報ブランディングアドバイザリー等の活動に従事。日本労務学会員。男女の双子を含む4児の父で兼業主夫。


手探りに始まったテレワーク

 20年4月に最初の緊急事態宣言が発出された際は、未知のウイルスが世界中で急速に広がり続ける恐怖心や、政府からの要請という重大性が相まって、十分な環境が整っていない職場でも強引にテレワークを取り入れたケースが多く見られました。

 ちょうどその時期に当たるテレワーク実施率が、最も高かった数字31.5%です。食品などの販売や飲食、運輸、介護など、現地での対応が必須な仕事を除き、その時点で現実的に可能だった実施率の最大値だったと言えるかもしれません。

 当時、多くの職場が実際にテレワークを行ったとはいえ、その内実は落差が大きくマチマチでした。中にはコロナ禍の発生前からテレワーク環境を整え、全社員がスムーズに運用できていた職場もありました。

 一方で、テレワークがうまく機能した社員とそうでない社員が混在する職場や、情報管理が書類ベースだったり、チャットやビデオ会議といったコミュニケーション手段が備わっていなかったり、テレワーク環境が整備されておらず事業運営に大きな支障が出てしまうケースも見受けられました。

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