ビッグモーター不正 忖度した「中間管理職」は加害者か被害者か?働き方の見取り図(1/4 ページ)

» 2023年08月08日 06時30分 公開
[川上敬太郎ITmedia]

 ゴルフボールで車体に傷をつける、店前の街路樹に除草剤をまく――。

 信じがたい不正行為が明るみに出た中古車販売大手のビッグモーターは、兼重宏行前社長が7月に会見を開き、社長辞任を発表。経営陣は刷新されたものの「前社長の子飼い」「社内から選んじゃ駄目」「風土を刷新できるように見えない」――などと、厳しい意見が上がりました。

 ビッグモーターはパワハラ体質が指摘されています。不正行為の加害者は実行した社員だったとしても、もし、パワハラで追い込まれた社員がやむにやまれず不正行為に走ったのだとしたら、加害者は追い込んだ会社であり、実行させられた社員は被害者です。

 仮に、パワハラ体質の会社が組織ぐるみで不正を行い社員に加担させたとしたら、最大の加害者は社長などトップの意思決定者です。ただ、会社組織はトップを頂点とするピラミッド構造になっています。

 会社が組織ぐるみで不正を行った場合、トップの意思決定者と不正を実行した社員との間に位置する中間管理職は、加害者か被害者のどちらになるのでしょうか

トップと不正を実行した社員の間に立つ中間管理職は加害者か被害者か?(ビッグモーター公式Webサイトより)

著者プロフィール:川上敬太郎(かわかみ・けいたろう)

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ワークスタイル研究家。1973年三重県津市出身。愛知大学文学部卒業後、大手人材サービス企業の事業責任者を経て転職。業界専門誌『月刊人材ビジネス』営業推進部部長 兼 編集委員、広報・マーケティング・経営企画・人事部門等の役員・管理職、調査機関『しゅふJOB総合研究所』所長、厚生労働省委託事業検討会委員等を務める。雇用労働分野に20年以上携わり、仕事と家庭の両立を希望する“働く主婦・主夫層”の声のべ4万人以上を調査したレポートは200本を超える。NHK「あさイチ」他メディア出演多数。

現在は、『人材サービスの公益的発展を考える会』主宰、『ヒトラボ』編集長、しゅふJOB総研 研究顧問、すばる審査評価機構株式会社 非常勤監査役、JCAST会社ウォッチ解説者の他、執筆、講演、広報ブランディングアドバイザリー等の活動に従事。日本労務学会員。男女の双子を含む4児の父で兼業主夫。


パワハラの責任をあいまいにする手段

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