トイレ利用者は1日約100万人! 買い物する人は何割? ローソンが「アートトイレ」プロジェクトを続けるワケ(1/2 ページ)

» 2023年11月30日 05時00分 公開
[昆清徳ITmedia]

 ローソンは11月8日から、全国のローソン店舗のトイレ扉部分にアートステッカーを貼りだしている。また、東京都と神奈川県の3店舗において、トイレ壁面に公募作品をデザインした「アートトイレ」を展開している。なぜ、こうした活動をしているのだろうか。同社の広報担当者と、同プロジェクトに参加しているローソン馬車道店(横浜市)の店舗責任者・飯森謙治氏に話を聞いた。

アートトイレを導入したローソン馬車道店(横浜市)

 全国の店舗に掲出しているアートステッカーには「いつもきれいにご利用いただき、ありがとうございます」と記されている。ステッカー内のQRコードを読み込むと、トイレにまつわるクイズ、トイレの大切さ、使う人・掃除する人の両方に感謝を伝える動画を視聴できるようになっている。

 アートトイレ内の作品は、ローソンが公募したものだ。募集期間は9月11日〜10月8日で、100件を超える応募があったという。応募作品の中から、ローソン社員の投票により3作品を選出。費用は同社が負担する形で、プロジェクトに協力する3店舗のトイレ内に展開することになった。

 なぜ、このような取り組みをしたのか。背景には、トイレを巡るさまざまな課題がある。

ローソン馬車道店のアートトイレ(アーティスト名「th.theta」)
ローソン馬車道店のアートトイレ

 同社が店舗利用人数やトイレ利用率などをもとに試算したところ、全国の店舗で1日に約100万人がトイレを使っていることが分かった。また、店内施設利用者のデータ調査により、トイレを使った後に商品を買わないで退店する人は約4割いると推計している。

 ローソンでは「いつでも気軽にトイレを利用したい」という要望を受け、1997年にトイレの貸し出しを始めた。同社によると、他のチェーンに先駆けた動きだったという。その後、社会におけるインフラとしての機能を果たすだけでなく、商品のついで買いが期待できることから、トイレ開放を加盟店に推奨している。あくまでサービスの一環という位置付けなので、開放するかどうかは各店舗の判断だ。

 一方で「マナーの悪い利用者がいる」「清掃の手間だけでなく、水道代や備品代の負担が大きい」といったことを問題視しているオーナーがいることも事実だった。

 もちろん、トイレをきれいに使ってくれている人も多くいるため、トイレのマナー向上を呼び掛けるだけでなく、日ごろの感謝の気持ちを示すために同プロジェクトを実施することになった。

ローソン馬車道店のアートトイレ
ローソン馬車道店のアートトイレ
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