新しい「音楽の聖地」になれるか 横浜みなとみらいに“規格外”のアリーナが生まれたワケ(1/5 ページ)

» 2023年11月30日 08時00分 公開
[中川寛子ITmedia]

 9月29日、みなとみらい21地区に2万席超、世界最大級の音楽に特化した「Kアリーナ横浜」(以下、Kアリーナ)が開業した。立地するのはみなとみらい21地区中心部と横浜駅の両方に近接した水辺のエリア。規模、立地から考えると、完成に近づきつつあるみなとみらい21エリア内では、最後のビッグプロジェクトといっても過言ではない。

yokohama Kアリーナ横浜(ケン・コーポレーション提供)

民間だからできた観客ファーストな設備

 こけら落としとなった地元・横浜出身のデュオ・ゆずのライブについては、すでに多くのメディアで取り上げられており、音響の良さ、どの席からもアーティストを正面から見られる扇形、千鳥配置の客席設定、座っていて疲れないファブリックシートなどについては報道されている。しかし、Kアリーナにはそれ以外にもいくつか画期的な点がある。

yokohama 千鳥配置、ファブリック使用のシート。座席には2つのカップホルダーを用意(ケン・コーポレーション提供)

 分かりやすいのは飲食が可であるという点。座席には2つのカップホルダーが用意されており、7階には夜景が楽しめるバーラウンジ「Arena Bar7」、5階にはゆったり食事を楽しめる約400席の大空間のラウンジ「Lounge5」がある。売店は場内に11カ所用意されており、開演前、開演中、開演後と自分の好きなタイミングで飲食を楽しめるのである。

yokohama Arena Bar7(Kアリーナ公式Webサイトより引用)
yokohama Lounge5(Kアリーナ公式Webサイトより引用)

 コインロッカーは全体で6200口あり、その充実ぶりも観客にとってうれしいところ。2万人が入るとなると全く混雑がないことは想像できないが、それでもかなり潤沢に用意されていることは間違いない。

 これらが可能になったのは、音楽を楽しむことに特化した民間のアリーナだから。「何を当たり前な」と思われるかもしれないが、日本でライブ会場として使われているホール、劇場など既存施設は、公共の施設が少なくない。

 音楽専門ではなく、多種のパフォーマンスに対応できるようにしてある会場も多く、となると音楽を聴く場としては物足りないことも想像に難くない。設備に関しても法令的に必要なモノは用意するとしても、それ以上に快適さを考えて作るという配慮がなされているかどうかはご自身の経験から判断していただきたいところだ。

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