庶民派・高級派で二極化? オーケー出店で「銀座の格が落ちた」と考えるのは早計なワケ長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/5 ページ)

» 2023年11月30日 10時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

 10月17日、マロニエゲート銀座2(東京都中央区)にディスカウントストア・オーケーの銀座店がオープンし、大反響を呼んでいる。同じビルにはユニクロ・ジーユー・ダイソーなども出店しており、銀座らしからぬ庶民的なゾーンとなっている。

 一方、銀座では4丁目にある三越銀座店のすぐ隣に、欧州の高級チョコレートショップである「ブノワ・ニアン」が新規出店したり、7丁目コリドー街にシンガポールから上陸した高級ナイトクラブ「Zouk Tokyo(ズーク・トウキョウ)」が出店したりと、銀座の持つ非日常的なキラキラ感を復活させようという動きもある。

 本記事では、二極化するコロナ収束後の銀座の現状をレポートしていく。

銀座が「二極化」を見せている(出所:ゲッティイメージズ)

弁当・ピザが飛ぶように売れる

 マロニエゲート銀座2の地下1階と地下2階にオープンした、600坪を超える広大なオーケー銀座店の売場。特に顧客が殺到しているのは、弁当・総菜・焼き立てパンのコーナーだ。午後5時ごろに行くと、大半の弁当・ピザ・サンドイッチ・寿司はもう売り切れている。仕事が終わってから夕食の準備に、と押っ取り刀で来店しても、欲しい商品がもう買えない状況だ。

他店でも人気のロースかつ重(提供:オーケー)

 顧客の勢いは午前中からものすごい。エリアニーズを考えて限定商品として提案した、A5ランク黒毛和牛を使った「すき焼き弁当」は、昼前の午前10時30分ごろに完売している日もあるほどだ。「ローストビーフ丼」も、店員が商品を並べたそばから売れていき、あっという間になくなってしまう。まさに瞬殺といえる。この勢いは、かつて京王百貨店の駅弁大会で見た「峠の釜めし」や「元祖森名物 いかめし」の売れ行きに匹敵する。

 ピザも、店頭で告知している焼き上がり時間に行かないと、棚はスカスカ。オーケーの他店舗でも、店内で焼くホール約30センチのワンコインピザは人気商品だが、これほど飛ぶように売れる異次元の光景は、銀座店でしか見たことがない。店頭POPには「テレビの放映効果で製造が追い付かない」と書いてあったほどだ。銀座の人が、ここまで弁当やピザを求めていたとは、顧客の潜在的なニーズを掘り起こした点で、オーケーの功績は大きいといえるだろう。

青果売り場の様子(同前)
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