庶民派・高級派で二極化? オーケー出店で「銀座の格が落ちた」と考えるのは早計なワケ長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/5 ページ)

» 2023年11月30日 10時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]
前のページへ 1|2|3|4|5       

米国・アジアで評価の高いナイトクラブがオープン

 10月6日には、シンガポールから上陸したナイトクラブ「Zouk Tokyo(ズーク・トウキョウ)」が、コリドー街にオープンした。ECを中心としたライフスタイルにコミットする企業で、ベルーナグループのグランベルホテルが経営している。同所に4月24日にオープンした、グループ内で最も高級ゾーンに属するホテル「GINZA HOTEL by GRANBELL」を核とした複合商業施設「GRANBELL SQUARE」の地下2階と地下3階に位置する。

シンガポールから上陸したナイトクラブ「Zouk Tokyo」

 営業は水曜〜日曜の午後8時〜翌午前4時30分。一般入場料は男性5000円、女性3000円。18歳未満の入場は不可で、18歳以上も身分証明書がないと入れない。Zouk Tokyoが営業しない時間帯は、ライブハウス「BASE GRANBELL」として営業する。座席数は259席、スタンディングで最大500人。

Zouk Tokyoの様子

 Zoukグループは、約30年前にシンガポールで誕生し、マレーシアや米国に展開している。特に米国・ラスベガスのナイトクラブは評価が高い。24年にはロサンゼルスに新たなナイトクラブをオープン予定だ。また、英国のクラブ・DJ専門誌『DJ MAG』にて、17年以降はアジアで最高級のクラブにランクされている。

日本を意識した内装も魅力

 音響設備には、世界的に評価が高いサウンドシステム「void(ヴォイド)」を搭載。天井照明は、スペイン・バルセロナのチームが手掛ける、直径5メートルにわたる巨大ライティングシステム「マザーシップ」を配置した。音楽に合わせた演出が行われており、音楽は、EDM・ALL MIX・Hiphop・K-pop・80'sなどと幅広い。

巨大ライティングシステム、マザーシッ

 GRANBELL SQUAREは、ホテルやナイトクラブの他、サウナ、スパをそろえる。さらに、ステーキハウスやルーフトップバーといった飲食店を複合した滞在型商業施設で、銀座の新たなランドマークを目指しているという。

 銀座では21年11月、東急プラザ銀座の6階に「RAISE(レイズ)」というハイエンドな雰囲気のナイトクラブがオープンしている。日本ではまだ、ナイトライフを楽しめる施設が少ないといわれる。コロナ禍で、六本木や渋谷の多くのナイトクラブが閉店に追い込まれたが、銀座には注目される施設が立て続けにオープンし、新しい音楽と遊びの発信拠点として面白くなってきている。

 このように、今日の銀座は日常と非日常という、二極化が進んでいる。しかも、コロナ禍の収束と合わせてそれが加速しているようにも見える。地方によくある「〇〇銀座」的な、よくあるチェーンが多数進出するエリアがある一方、一部では銀座でしかあり得ない、特別なキラキラ感もさらに増している。銀座の中のエリアが、そこに行く人の性向によって、色分けされてきているといえるだろう。

最上階のルーフトップバー、時間帯でステーキハウスに変わる。ナイトクラブと連動したイベントも開かれる
高級ホテルを核とした、銀座のグランベルスクエア(出所:グランベルホテル公式Webサイト)

著者プロフィール

長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)

兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。著書に『なぜ駅弁がスーパーで売れるのか?』(交通新聞社新書)など。


前のページへ 1|2|3|4|5       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.