中国発のファッションECサイト「SHEIN」(シーイン)が米ニューヨークで新規株式公開(IPO)を目指そうとしている。米議員からは「販売商品と強制労働の関連がないと証明されない限り、上場を認めるべきでない」との声が再び高まっている。
SHEINは11月27日に米証券取引委員会(SEC)に上場を申請。2024年中にIPOを実施する可能性がある。 同社はまだ、売り出す株の規模や公開価格は決めていないが、ブルームバーグは今月、最大900億ドルの企業価値を目標にしていると伝えた。
2012年創業のSHEINは、少なくともここ3年間、米国でのIPOを狙ってきた。ただ、米中の政治的摩擦のあおりを受け、これまで延期が続いてきた。
また、SHEINは低価格の衣料品や家庭用品について、中国国内でほとんどを生産する過程に、ウイグル族などの強制労働があるとの批判にさらされている。
問題視されているのは、中国当局がウイグル族やその他のイスラム系少数民族を強制収容しているとされる新疆ウイグル自治区の下請けメーカーと、SHEINが契約している可能性だ。
そのためSHEINがSECから上場の承認を得る上で、自社のサプライチェーン(供給網)が「清廉潔白」だと当局に納得させることが最大のハードルになるだろう。
米民主党のジェニファー・ウェクストン下院議員は、28日の声明で「SHEINが米国で上場したいなら、米国の消費者に自社商品は強制労働に由来してないと証明しなければならない」と述べた。
ウェクストン氏は今年、SECに対してSHEINがサプライチェーンに強制的な労働力を使用していないとはっきりさせるまで、IPO手続きを止めることを求める超党派の働きかけを主導した。
野党共和党に所属する16州の司法長官のグループは、SECにSHEINの監査を要求。SHEINは、米国の関税を不当に回避した疑いでも米議会で調査されている。
SHEINは今回、コメント要請に回答していない。だが、以前ロイターに対し、強制労働を決して容認せず、新疆ウイグル自治区の下請けメーカーとの契約も存在しないと表明していた。
ミケルマン・アンド・ロビンソンで上場証券を扱う弁護士のミーガン・ペニック氏は、SECがSHEINの上場を「直接的に阻止する」可能性は低いとしつつも、非常に詳細な情報開示要件を設けてSHEINが手続きを進めるのを難しくしたり、極端に細分化して事実上は手続きを不可能にさせたりする可能性はある、との見方を示した。
ペニック氏は「強制労働や知的財産に関して(SHEINが)SECを満足させるだけの回答を出せないような問題が出てくるかもしれない」と話す。
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