近年、多くの日本企業が労働生産性を上げるために「DX」「リスキリング」「SaaS」などに投資をしてきた。
ビジネス領域において、これらのキーワードの存在感も高まっているように思えるが、Chatwork(東京都港区)の調査から、中小企業(従業員規模300人未満)の4割以上が、DX、リスキリング、SaaSそれぞれに対して「聞いたことがない」と回答していることが分かった。SaaSについては70.6%が「聞いたことがない」と回答。DXとリスキリングと比較して、一層認知度が低いことが明らかになった。
中小企業が解決に向けて取り組んでいる経営課題についても調査した。1位は「コスト削減」(21.7%)だった。以降「売り上げ拡大(既存事業)」(20.1%)、「業務効率化・生産性向上」(15.8%)、「人材の確保・育成・離職防止・評価の適正化」(15.7%)と続いた。
DX、リスキリング、SaaSは中小企業が抱える経営課題の解決に貢献するものとされている一方で、現場には十分に浸透していない実態が浮き彫りになった。
DXの実行状況については、61.1%が「日常業務のやりとり、情報管理の多くが口頭やメール(電話・FAXを含む)、紙を使用している」(ステップ0)と回答。「デジタル・IT活用を前提としたビジネスモデルへの転換が進んでいる」(ステップ4)と回答したのは1割のみだった。
デジタル化を推進するうえでの課題を回答を、社長とバックオフィス担当者別で集計したところ、最多は「金銭面のコストが大きい」(社長:34.3%、バックオフィス:35.6%)だった。2位以降は回答傾向に違いがみられた。
社長側の2位は「導入しても効果が分からない・評価できない」(26.8%)、3位は「時間やコストをかけて取り組んでも、効果を得られるイメージが湧かない」(24.8%)という結果に。また4人に1人は「特に課題は感じない」(27.7%)と回答した。
バックオフィス側の2位は「社内に詳しい人がいない・旗振り役がいない」(28.3%)、3位は「従業員への浸透・教育が難しい」(27.7%)だった。社長同様に「特に課題は感じない」という意見も挙げられた。
経営者はそもそも課題感がないことや、効果が分からないことを挙げているが、バックオフィス担当は人手不足や教育不足を課題視していることが分かった。
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