まず、業績評価は結果重視で、感覚派の上司の場合です。上司から情報共有を求められる頻度は少なく、現状を数字に基づいて説明する機会も多くない傾向があるため、コミュニケーションにかかる負担は4つのタイプの中で最も軽いと言えます。
その分、上司への相談事などがある場合には自ら働きかけなければならないことや、自分で責任を持って営業活動を管理する必要がある点は肝に銘じておくべきでしょう。特に、営業職になって日が浅い場合には、有益なフィードバックを受けづらい可能性もあるため、スキルアップできるように意識的に行動することが重要です。
次に、業績評価ではプロセス重視ながら、本人は感覚派である上司の場合です。営業活動のプロセスを評価するには、さまざまな活動の目標と実績を数字で示す必要があり、上司からはミーティングなどで定期的に進捗報告を求められるでしょう。ただし、基礎的な情報、つまり目標を達成するために計画的に活動していることが証明できれば納得してもらえる可能性が高いです。そういった準備をルーティン化することで、上司とのコミュニケーションコストや業務負担の軽減が期待できます。
また、このタイプの上司とのコミュニケーション頻度を減らし、営業活動に専念する時間を増やすためには「この人(部下)なら任せても大丈夫」という信頼を得ることが重要になります。感覚派の上司の場合、顧客が何に興味を持ち、課題を感じているのかといった質的な情報を日頃から言語化しておくことで、上司からの質問に適切に返答しやすくなり、信頼獲得にもつながりやすいでしょう。
続いて、業績評価はプロセス重視で、理論派の上司を見ていきましょう。おそらく、上司とのコミュニケーションがうまくいかない、もしくは負担が重いと感じる人が最も多くなるのは、このタイプの上司の場合でしょう。
そう感じる理由としては、定期的な進捗報告で目標に対する実績を数字で示すだけでは十分でなく、背後にある要因や、改善に向けた具体的な取り組みなど、データに基づいて深掘りした分析が求められる場合が多いことが挙げられます。
これらは営業活動の進め方としては理にかなっており、スキルアップが期待できる側面もあるのですが、多くの時間と労力を投下することにもなります。
少しでも負担を減らす方法としては、上司から尋ねられた質問をストックしておき、似たような状況になった際に先手を打つ準備をすることです。常に自身の営業状況を分析・説明できるようにしておくことで、データを意識した営業活動をしているという印象を上司に与えられます。
上司からの質問を瞬時に適切に打ち返せるようになれば、信頼を獲得でき、長期的なコミュニケーションの負担軽減につながる可能性も期待できます。
最後に、業績評価は結果中心で、本人は理論派の上司です。このタイプは、誰に対してもそのように接するというよりも、信頼関係を築いた結果として、特定の部下に対しては活動プロセスを細かく見ることはせず放任している場合のほうが現実には多いかもしれません。
このタイプの上司の元で業務を行うに当たっては、深くプロセスにまで踏み込まれなくても成果を出せる部下であることを証明し、関係を築くことが理想形の一つでしょう。そのためには自分なりの方法で結果を残すのはもちろん、上司から進捗を尋ねられる前に目標達成までの道筋を具体的に示し、実行していくことが重要です。
コミュニケーションコストが最も低いのは「結果重視・理論派タイプ」の上司です。最初からこのタイプの上司に当たれば良いですが、新卒や営業経験が浅い場合だと丁寧なコミュニケーションを求められることもあるでしょう。
部下の側で上司のタイプを選ぶことはできませんが、部下自身の取り組みで「プロセス重視」の上司をコミュニケーションコストが低い「結果重視」の上司に変えていく方法は考えられます。成果を出して、任せてもらうことで上司との信頼関係を築くやり方です。
もちろん、ある程度管理してもらえた方が安心するといった部下もいます。お互いのやりやすい形を探りながら、社内のコミュニケーションコストを下げ、顧客に向き合う時間をつくって成果につなげる、ポジティブな流れを作っていきましょう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング