「大工」がいない 20年で半減、住宅業界はどうなる?(1/3 ページ)

» 2023年12月12日 17時54分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 大工の減少が深刻化している。人数は令和2年時点で約30万人。過去20年間で半減しており、このまま減少が続くと、木造住宅の建設やリフォームなどに大きな影響が出る可能性もある。背景には、不安定な雇用形態や若者離れがある。その課題に取り組む企業を取材した。

 総務省の国勢調査によると、平成12年に64万6767人いた大工は、22年に40万2120人、令和2年は、29万7900人と、大きく減少している。

photo 技術研修を受ける若手社員(ハウジング重兵衛提供)

 大工の若者離れと高齢化も深刻になっている。平成2年に15〜19歳の大工は1万6657人だったが、22年には2150人、令和2年は、2120人に減少した。同年では、大工のうち最も多い世代が65〜69歳の4万8450人となり、全体の約16%を占めるようになった。65歳以上は約3割に及ぶ。この世代の引退が迫っており、若手を含む大工の確保が大きな課題となっている。

「技は盗む」から教育強化へ

 そんななか、大工の正社員雇用や育成など、大工の待遇改善に力を入れているのが、住宅・リフォーム業を展開するハウジング重兵衛(千葉県成田市)だ。

 代表の菅谷重貴さん(41)は大工の若者離れについて、大工に対する先入観が大きいとし、「『3K」と呼ばれるような、『きつい』『汚い』『危険』といった労働環境のイメージや、『技は盗むもの』といった職人かたぎに抵抗感を持つ人もいる」と語る。

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