「加熱式たばこ」広がった理由は? ハームリダクションへの関心が高まる(1/3 ページ)

» 2023年12月19日 08時00分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 健康長寿を目指す取り組みが広がるなか、たばこに関わる意識が変化している。健康のためには禁煙が望ましいが、嗜好(しこう)品として親しまれている側面から、身体への悪影響を減らす「ハームリダクション(害の低減)」への関心が高まり、紙巻きたばこの代替として加熱式たばこが注目されている。しかし、厚生労働省は「加熱式たばこによるハームリダクションの可能性には否定的」という姿勢だ。ポイ捨てや喫煙所の周辺環境など議論になりがちなたばこだが、ハームリダクションについても多様な意見が交錯する。

加熱式の利用、喫煙者の3割

 加熱式たばこは、タバコ葉を含むスティックに熱を加え、発生した蒸気を吸う。日本ではフィリップモリスジャパン(PMJ)が平成28年からアイコスを全国発売。日本たばこ産業(JT)のプルーム、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン(BATジャパン)のグローなどが販売されている。

photo 加熱式たばこの利用者が増え、専用の喫煙所も設置されている=東京都港区

 厚労省の令和元年国民健康・栄養調査によると、喫煙者は減少傾向にあり、20歳以上人口の約2割。財務省などの資料では、紙巻きたばこの販売数量は平成22年度に2千億本超だったが、令和4年度は926億本に減少。一方で加熱式たばこ利用者は増え、喫煙者のうち約3割を占める。加熱式たばこの販売数量は平成29年度には約250億本だったが、令和4年度は500億本を超えた。

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