さて、このような話を聞くと、ブランドビジネスをしている人たちは頭を抱えるはずだ。
サマンサタバサにしても、4°Cにしても、ブランドとして栄華を誇ったことに異論を挟む者はいないだろう。しかし、そんな風に大成功して爆発的に売れてしまうと「みんなが持っている」という大衆化が進行して行き着く先には、「ダサい」「安っぽい」というディスりが待っている。
つまり、盛者必衰ではないが、苦労して成功を果たしても、その後にはブランド価値が地に堕ちてしまうという非情な運命が待ち構えているのだ。
それは日本発ブランドだけではない。例えば、ティファニーだ。かつては世界5大ジュエリーブランドの一角に称えられたが、その圧倒的な人気が災いして、「プレゼントといえばオープンハート」「結婚式の引き出物にはティファニーの食器」という大衆化が進んでしまう。
つまり、「オードリー・ヘップバーンが映画の中で憧れた高級ブランド」から「ちょっと高いけれど、わりとみんな持ってるベタなブランド」となっていくのだ。業績低迷からLVMHグループに身売りをしたのは、このようなブランド価値の低下と無関係ではない。
そんな世界的ハイブランドでさえも「大衆化」のワナに堕ちてしまうという現実がある中で、どうにかして、これを避ける手はないのか。
結論から先に言ってしまうと、実はそのヒントは、世界的大衆ブランドにある。スポーツブランドの「ナイキ」である。
ナイキは「大衆ブランド」だ。そのへんの立ち飲み屋で昼から酒を飲んでいるようなおじさんもナイキの帽子をかぶっているし、小学生もスポーツ用品店で購入したナイキの靴を履いている。
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