富田林駅の隣にあり、市内で最も利用者が多い1万5049人(同)が乗降する近鉄長野線・喜志駅も、駅前は殺風景だ。同じく隣にあり、富田林市役所の最寄り駅で乗降客数6305人(同)の富田林西口駅も、駅前商店街は極めて小規模で栄えているとはいいがたい。
喜志駅からの金剛バス路線は太子町の中心部のみならず、同町の上宮太子高等学校、河南町の大阪芸術大学を通る。しかし、大半の学生はスクールバスを利用しており、金剛バスは両校のスクールバスの運行を行っていない。従って、金剛バスは学生を大量輸送する恩恵を受けていなかった。
金剛バスは朝夕のラッシュ時には、通勤・通学でかなりの利用者がいたのは事実だ。しかし、駅前ににぎわいを創出する集客装置がないから、人々はただ乗り換えのために素通りするだけになっている。昼間にバスに乗る人は少なく、路線バス事業が苦しいのは容易に想像できる。
同社・白江暢孝社長によれば、乗客数は13年度の約172万人から21年度には約106万人にまで減少が続き、歯止めが掛からなかったという。赤字になっても沿線自治体から補助金が入っていたものの、バスが老朽化しても買い換える資金はなく、運転手たちがやりがいを感じにくい環境になっていたのだろう。金剛バスは大阪近郊の大都市圏を運行しているのに「PiTaPa」「ICOCA」などの交通系IICを使えなかった。そこを改善するだけでも、もっと利用しやすくなったのではないか。
金剛バスの苦境は、沿線自治体の人口減にも起因している。富田林市は今世紀に入ってから人口減に悩む。同市の公式Webサイトによれば、3月末の人口は02年に12万6400人とピークを迎え、そこから減少。22年には10万8514人にまで減った。20年間で約1万8000人、15%ほどの人口を失った。
市内にはPL教団の大本庁がある。PL教団のユニークなところは、かつて敷地内で「PLランド」という遊園地を運営していたことだ。
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