16億円かけ新設「国際線ターミナル」が大苦戦 和歌山・南紀白浜空港の誤算(3/3 ページ)

» 2024年01月08日 06時30分 公開
[産経新聞]
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「実績を積んでから」

 和歌山県は「国際チャーター便の実績を上げれば将来の国際定期便につながる可能性がある」とし、チャーター便の誘致先として中国沿岸部や韓国、台湾と対象を比較的広くして誘致活動をしている。同県港湾空港振興課の安井英晶課長は「幅広く誘致活動すれば興味を持ってくれるところが出てくる」と説明する。

photo 国際チャーター便の誘致活動が行われている南紀白浜空港=和歌山県白浜町
photo 南紀白浜空港の国際線ターミナル内部=和歌山県白浜町

 これに対し、空港経営に詳しい関西学院大の上村敏之教授(公共経済学)は「地方空港の国際チャーター便誘致は簡単ではない。近隣の関西国際空港との競合もある。地元の観光資源にどんな魅力があるのか戦略的に調査したうえで、それに見合うターゲットとなる国・地域を明確にしないといけない」とし、「海外の航空会社に働きかけるのでノウハウが必要になる」と話す。

 実は南紀白浜空港は、国内各地にインバウンド(訪日外国人客)が増加した平成27、28、30、令和元各年度の国際チャーター便がゼロだった。実績があった平成25、26年度でもそれぞれ4便だった。

 上村教授は「もっと実績を積んでから国際線ターミナルを建設してもよかったのではないか。需要が見通せないなら要らなかったかもしれない。ただ建物ができた以上、戦略的な誘致活動が必要」と指摘する。(張英壽)

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