16億円かけ新設「国際線ターミナル」が大苦戦 和歌山・南紀白浜空港の誤算(1/3 ページ)

» 2024年01月08日 06時30分 公開
[産経新聞]
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 関西有数の観光地・和歌山県白浜町に立地する南紀白浜空港に国際線ターミナルが完成し、昨夏に運用が始まった。同県が国際チャーター便や国際定期便の誘致を目指して新型コロナウイルス禍の中、約16億円で建設した。だが国際チャーター便の誘致は容易ではなく、令和5年は4便だった。地方空港の中には増築などをせずに既存ターミナルで国際チャーター便に対応するところもあり、専門家からは必要性に疑問の声も上がっている。

photo 南紀白浜空港の国際線ターミナル(手前)=和歌山県白浜町

税関などのスペース確保

 南紀白浜空港は昭和43年に開港し、平成8年に隣接する現在地に移転。国際チャーター便は移転した同年に初めて運航し、21年度と29年度にはそれぞれ過去最高の20便に達した。令和5年までに韓国や台湾、中国などの計138便の国際チャーター便が運航した。滑走路は現在、中型ジェット機に対応した2千メートルで、国内線は羽田(東京)便が1日3往復6便ある。

 国際線は国内線と違い、CIQ(税関・出入国管理・検疫)のスペースが必要で、同空港では国内線の既存ターミナルに臨時スペースを設けて対応してきた。和歌山県はこうした不便さを解消し、国際チャーター便や将来の国際定期便を誘致するため、平成28年度予算に設計費を計上してCIQスペースを備えた国際線ターミナル建設を計画。コロナ禍の令和2年6月に着工し、3年11月に2階建ての建物が完成した。

 総事業費約16億円で、延べ床面積約3800平方メートル。国内線のターミナルと連結されている。

 国際チャーター便は5年7月に、平成30年1月以来となる4便(ベトナム便)が運航した。国際線ターミナルはこの運航で完成から1年8カ月ぶりに運用が始まった。令和6年2月には、国際線ターミナルを使い、韓国のチャーター便6便が運航することが決まっている。

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