中国の2023年の自動車輸出台数が、日本を抜き、初めて世界首位となる見通しだとして話題だ。原動力となっているのが電気自動車(EV)だが、中国国内では出荷台数の伸び悩みや新興メーカーの淘汰がみられ、欧米ではガソリン車回帰やEV補助金見直しの動きもある。国内外で中国EVに対する逆風も強まっているようだ。
中国自動車工業協会によると、23年の中国の輸出台数は前年比57.9%増の491万台と過去最高を更新した。日本自動車工業会によると日本の23年1〜11月の輸出は399万台で、12月分を加えても中国を下回る見通しだ。
中国メーカーは政府の後押しを受けた技術力で、EVなど新エネルギー車が輸出を伸ばした。中国EV大手の比亜迪(BYD)や、米テスラの中国生産車などが牽引(けんいん)役となっている。
ただ、中国国内のEV市場は問題をはらんでいる。中国全国乗用車市場情報連合会によると、EVやプラグインハイブリッド車(PHEV)の24年のディーラーへの出荷台数は前年比25%増の1100万台と予想されている。23年の36%増、22年の96%増と比べ減速が目立つ。ブルームバーグ(日本語版)が9日伝えた。新興企業の破産や、従業員の削減なども報じられた。
自動車ジャーナリストの佐藤篤司氏は「コロナ禍以降の中国の景気減速や海外の供給網の再構築、乱立した新興EVメーカーの競争激化などが背景にある。質の低いEVメーカーは駆逐され、大手に収斂していくことも考えられる」との見方を示す。
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