建設業の倒産件数が2023年に急増 「黒字倒産」もチラホラ 地域別で最も多かったのは?(1/2 ページ)

» 2024年01月17日 06時30分 公開

 建設業者の倒産が増えている。帝国データバンクが建設業の倒産動向を調査したところ、2023年に発生した建設業者の倒産件数は1671件で、前年比38.8%増と急増したことが分かった。増加率が30%を超えるのは00年以降で初めて。

photo 帝国データバンクが建設業の倒産動向を発表(出所:photoAC)

 23年は8年ぶりに1600件を超え、コロナ禍前の19年(1414件)を上回った。14年以降の10年間で2番目の多さとなった。

photo 建設業倒産の推移(出所:プレスリリース、以下同)

 負債総額は1857億300万円で、前年比52.5%増の大幅増。一方で、一部の大型負債が全体を押し上げた形となり、パチンコ大手・ガイアのグループ企業2社を除くと1件当たりの平均負債額は8900万円と、小規模業者の倒産が中心であった。

photo 負債総額の推移

 帝国データバンクは「倒産急増の背景には、資材の高騰と人手不足などに伴う『建設コストの上昇』が挙げられる」とコメント。施主に対しての価格交渉が難航するなど、請負単価が上がらない中で資材高騰の局面が続き、元請け・下請けともに収益力が低下していることが理由と分析している。

photo 建設業者の仕入単価、販売(請負)単価DIの推移

 人手不足は工期の延長も引き起こしている。完工時期が後ろ倒しとなることで、元請業者から下請業者への支払延期要請も多く、資金繰りにも影響を及ぼしている。つなぎ融資を調達しようとしても借入余力の小さい業者が多く、受注は確保できていながら現金がショートする「黒字倒産」も見られた。

 建設業界では、残業時間の上限規制が24年4月に適用される。価格転嫁や工期の適正化が進む一方、下請業者への浸透には時間がかかる可能性もあり、さらなる建設コストの上昇、倒産の増加も懸念されるという。

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