攻める総務

その仕事、そもそも必要? 総務の「ムダ業務」改革の“3つの鉄則”「総務」から会社を変える(1/2 ページ)

» 2024年01月23日 07時00分 公開
[豊田健一ITmedia]

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 総務の仕事は「終わりなき改善」だと表現できる。テクノロジーの進展が目覚ましい今日、現在の状態が最適だとは限らない。現状が最適と思い込み、生産性の向上の手を緩めてしまってはならないのだ。また、最適化に当たっては常に「個別最適化の呪縛」もついて回る。常に生産性の向上を目指し生産性の向上に余念がない総務部門を目指さなくてはならない。

 会社を変える戦略総務になるためにも、人と時間を生み出さないことには、何もやりようがない。まずは自らの仕事を見直すことが必須だ。既存業務の見直しを行い、効率化を図って生産性を向上する必要がある。

 生産性の向上や業務改善を考える前に、そもそも総務にとって改善をすべき業務、仕事とは一体何だろうか。 

 仕事の大原則は「最少のインプットで、最大の価値を作り出す」ことを目指すことだ。「できるだけ少ない労力・時間」「最も効率の良い手段・プロセス」「最も安価な費用」で「多くの価値(=目的の達成)」を実現することにある。

 生産性という言葉は、いかに効率良く価値を実現するかという度合いを意味する。図式に表すならば、下記のようになる。

生産性 = 提供価値 / 投入資源

 先の図式において、投入する資源の量を減らすと同時に、提供価値を高めることができればベストだ。次善の策として「投入資源を減らす」だけや「提供価値を高めるだけ」という業務改善もある。戦略総務を目指すのであれば、常に業務の時間短縮・疲労軽減・経費低減、そして常に提供価値の向上を目指したいものだ。

業務改善「3つの法則」

 業務改善の進め方には鉄則がある。以下の流れで考えるのである。

  • (1)やめる
  • (2)減らす
  • (3)変える

やめる

 まずは「やめる」。やめられないかを考える。

 今まであった仕事を一度、思い切ってやめてみる。やめた後で、やはり必要だと関係部署から声が上がってくれば、また復活すればいいのだ。やめても誰も気が付かないケースも多くある。既得権化した仕事をやめるときには現場からは不平不満が出てくるが、いずれ慣れてしまうものだ。経営も巻き込んで、大義名分を用意してから進めるのがおすすめだ。

photo (提供:ゲッティイメージズ)

減らす

 次は「減らす」。

 どうしてもやめられない業務もある。そこで、継続はするものの、提供しているサービスや物品の量や質を落とす、という方法だ。回数・頻度・時間・種類・重さ・量・長さを減らすことを検討する。全面的にやめるのではなく部分的にやめる、というのも「減らす」に含まれるだろう。ムダに多く在庫を抱えていたり、必要ないサービスまで準備したりしていないかをチェックし、徐々にその質や量を落としていく。

 総務の業務には「現場からの依頼にはすぐに対応」がマストになっているケースも多いだろうが、実はすぐに対応しなくても良いこともある。担当者の心情としては「すぐに対応した方が気分がラク」かもしれないが、そのたびに本来やるべき仕事は中断されてしまう。「はい、対応します」と答える前に次のことを確認したい。

 「いつまでに、対応すれば良いですか?」

 「そもそも、何が問題なのですか?」

 「それは、いつも起きる問題ですか?」

 依頼の本質や問題の根本原因を確認し、本当に必要な時期までに対応する。スピード重視よりも本質重視の考え方だ。これも、作業自体を減らす、対応スピードを遅くするという「減らす改善」となる。どこの部署でも起こり得る問題だと把握できれば、仕事量は増えても本質的な改善に結び付く。

変える

 最後が「変える」という方法だ。

 仕事の仕方を変える。例えば、ITに置き換える、アウトソーシングしてしまうなどの方法だ。ITに置き換えるとは、まずは、リアルからデジタルデータに置き換える「デジタイゼーション」があり、そしてITツールを使うことによる「デジタライゼーション」がある。

 極力デジタライゼーションを実施し、データを蓄積し、次の改善のネタを見付けたい。それにより、大きく業務を変え、改革に結び付けるのだ。総務DXの本質は、このデータマネジメントにある。

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