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パソナ「淡路島移転」はどうなった? 3人のシングルマザーが語った「仕事」「教育」「島民の気質」長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/5 ページ)

» 2024年01月26日 05時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

 淡路市内に分散するパソナグループのオフィスのうち最大の規模を有する「パソナワーケーションハブ志筑」は、島内に2カ所あるイオンの1つ「イオン淡路店」の3階部分をまるごと借り切っている。仕事が終わって買い物をして帰るには最高の環境だと社員に好評だという。同オフィスでは約300人が働いているが、そのうち8割は女性だ。

執務室の様子

 社員専用の駐車場が屋上にあり、快適に通勤できる。車を持たない人も、路線バスの停留所がすぐ近くにあるため便利だ。社内施設を循環するシャトルバスもあり、運転免許がなくても就労が可能になっている。

 パソナグループは淡路島で「ひとり親働く支援プロジェクト」という、子育て中のシングルマザーやシングルファーザーを支援するプロジェクトを推進している。社宅を用意し、働く時間帯に柔軟性を持たせるなど、子育てが困難とされるひとり親に、働きやすい環境を提供している。これまで30人ほどを採用し、退職者は3人と定着率が高い。

オフィス内にはジムも

「淡路島にはポテンシャルがある」

 今回、ひとり親働く支援プロジェクトで就職した人を取材した。パソナワーケーションハブ志筑で働く岡亜沙美氏は、同じ淡路島でも洲本市出身のUターン組だ。セールスサポート・オペレーション本部に勤務する。

 リクルートコンサルティングと呼ばれる営業部門が獲得してきた求人データを、社内のフォーマットに則って入力代行する営業支援業務と、代表電話に掛かってきた電話の受け付けを行っている。

Uターン組の岡氏。現在は管理職として活躍する

 営業支援業務について、これまで求人データは全国に散らばる営業メンバーが各自でPCに入力していた。ところが作業がなかなか煩雑で、入力に時間が取られて肝心の営業が滞りがちだったという。それならば、淡路島で入力作業を集約して行った方が、営業担当者がもう1軒、2軒と数多く企業を訪問できる。また、全国からかかってきた代表電話は、淡路島でまとめて受けて、内容によって各部署に振り分ける。

 岡氏はUターンするまで千葉県の外房に住んでいて、電車で東京まで移動する機会も多かった。アクアラインで東京や横浜とつながっている千葉と、明石海峡大橋で大阪や神戸とつながっている淡路島は、環境として似ていると実感している。パソナが淡路島でワーケーションを始めるというニュースを見て、自分も故郷で働いてみたいと思ったという。22年3月に入社し、23年6月からは管理職であるチーム長に昇進した。

 「淡路島はシンガポールの国土くらいの広さがあって、もっと発展するポテンシャルを持ちながら、おじいちゃん、おばあちゃんしか住んでいないと見られているのはもったいない。自分の力で活性化できたら」と、岡氏は淡路島ライフにやりがいを感じている。小学生の息子は関東のイントネーションで話すので、転校した当時はクラスメートに少しいじられたが、問題なく溶け込んでいる。

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