同じく同所で勤務する高川未来氏も、実家が南あわじ市というUターン組。キャリアコンサルティング部門が面談した求職者の情報を求人企業のシステムに登録して、推薦する業務をしている。求職者によってはPCを使えず、手書きの履歴書や職務経歴書を作成している人もいるので、PCに入力し直す書類作成代行も行っているという。
高川氏は21年7月に入社。娘が2歳と小さかったこともあり、あたたかい島民の気質や食べ物がおいしいことなど環境面を考慮して、もともと山梨県からUターンしていた。ひとり親働く支援プロジェクトの入社式が淡路島で行われたニュースを見て応募したという。
最初は契約社員として働き始めたが、キャリアをステップアップし22年12月に正社員になった。チームは異なるが、岡氏と同じく23年6月から管理職としてチーム長を任されている。
「正社員の管理職でありながら、時短勤務ができるのがありがたい」と高川氏。本来なら午前9時から午後5時半までが勤務時間だが、娘の保育所への送迎が考慮されて、午前9時半から午後4時半まで、6時間勤務で働いている。
ここまで紹介した岡氏と高川氏はUターン組だが、ひとり親働く支援プロジェクトで入社した人は、淡路島と縁もゆかりもなかった人の方が多い。岐阜県から移住し、21年2月に入社した小林千紘氏はIターン組の一人だ。「パソナファミリーオフィス」で、総務として勤務している。
同オフィスは22年4月から、兵庫県芦屋市の「芦屋インターナショナルスクール」と提携した「Awaji Island International School」を併設。4歳の子どもと一緒に通勤し、勤務中は託児所機能を兼ねたスクールに預けて、帰宅時は一緒に帰るのが日課になっている。
小林氏は滋賀県生まれ。歯科衛生士の資格を持っており、日本のどこでも働けることから、海の近くで食事がおいしく、景色がきれいな場所を関西圏で探していたところ、パソナのひとり親働く支援プロジェクトが目に留まった。
歯科衛生士は就業時間が長い。夜遅くまで子どもを預かってくれる保育園があるのか、不安があったという。そこで歯科衛生士を続けるより、定時で帰れて社内に託児所がある環境を優先し、淡路島のパソナの管理部門に就職した。小さい子どもはよく熱を出すなど体調を壊しがちだが、在宅勤務が可能なので助かっていると話す。これまでの歯科衛生士の仕事では在宅勤務ができなかった。
オフィスのすぐ前にはドラッグストアがあり、スーパーやコンビニも近い。かなり大きな病院もあり、日常生活で不便は感じない場所といえる。本来は入学するのに高額な学費が必要なインターナショナルスクールだが、無料の福利厚生として子どもを通わせられ、英語力が身に付けられる。これも大きなメリットだ。小学生向けには放課後に通うアフタースクールも開校しており、英語だけでなくサッカーやバレエ、空手なども習える。
小林氏は貯金をはたいて移住し、1年後には寮から出て35年ローンで一軒家も購入。「子育てのしやすさでは、感謝しかない」と話していた。
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