ラジオ離れとコスト増で民放ラジオはどうなる? 東日本3局の舞台裏(2/3 ページ)

» 2024年01月27日 08時00分 公開
[産経新聞]
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厳しい経営環境

 BSNを含めた全国のAMラジオ事業者13社が特例措置の適用を受ける背景には、大きく2つの要因がある。若い世代を中心にラジオ離れが進み、特にAMラジオが経営的に厳しい状態にあることが一つ。もう一つは、AMは電波の特性からFMに比べ、コスト負担が大きいことだ。

 BSNの樋ノ浦重嗣技術部長は「業界全体でラジオ離れが進み、当社もラジオ単体でみた場合、10年間でかなり売り上げが落ちている」と明かす。

 苦境の元凶ともいえるラジオ離れについて、樋ノ浦氏は「コアなファンが少なくなった気がする。ラジオを聞いているタクシーやトラックのドライバーも減った印象がある」と明かす。

 BSNは「2028(令和10)年までにFMがメインのラジオ局を目指す」としている。

FMへの全面移行も視野

 茨城県で唯一の民間放送局である茨城放送(水戸市)は、土浦局と県西中継局(筑西市)の2つのAM中継局を2月1日から休止。35市町村が放送エリアだが、同社は、「既存のFM水戸局とつくば局でエリアをほぼ全部カバーできる」とする。

photo 茨城放送の看板番組「HAPPYパンチ!」のスタジオ風景(茨城放送提供)

 リスナーは50代が35%、40代と60代が各25%と中高年中心。会社員が半数を占め、車で移動の多い県内事情から、約6割が自動車で聴いているという。

 休止については放送内や関係市町村の広報紙などで告知。反響や意見は特に寄せられていないという。

 同社幹部は「AMの施設更新には莫大な費用がかかる。設備の初期投資や維持管理費も安いFMに転換せざるを得ない」と話す。

 2つの中継局は来年1月末までの休止を予定。残るAM水戸局に関して、同社は「総務省が次の放送免許更新(令和10年)までに再び特例措置を実施すれば、運用休止を検討する」と全面的なFM移行も視野に入れている。

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