そこに加えて、日本企業特有の「セクショナリズム」も大きい。
特にテレビドラマや映画の現場は古い職人カルチャーがまだ残っており、「餅は餅屋」という考えが強い。いくら原作者といえども、こちらの仕事を邪魔するような「領域侵犯」をしてくれるな、というプライドの強い人がまだたくさんいらっしゃるのだ。
もちろん、だからと言って、自らの命を削りながら生み出した作品を勝手に変えることなど許されるわけではない。日本の場合、実写化に伴い、漫画や小説の原作者の権利や主張を代弁するエージェントが少ない。原作の担当編集者がそれを兼ねているような状態だ。
芦原さんが最後に「攻撃したかったわけじゃない」と発信したように、この問題は誰か特定の人を吊(つる)し上げて解決できるような問題ではない。
現場にいる個々は「良かれ」と思って自分に与えられた仕事を真面目に取り組んでいる。しかし、そんな真面目な人たちの集団を俯瞰(ふかん)してみると、「良かれ」と思いながら不正に走っていたり、誰かを傷つけていたりということがよくある。日本企業の不祥事も全く同じ構造だ。
今回のドラマに関わった人々を守るためにも、日本テレビは第三者による公正な調査を実施して、ドラマ現場の「病巣」を浮き彫りにすべきだ。
最後になりましたが、芦原妃名子さんのご冥福を心からお祈りいたします。合掌。
こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556
日本いのちの電話:0570-783-556
よりそいホットライン:0120-279-338
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル』
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受
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