リテール大革命

「残念なセルフレジ」はなぜ生まれるのか 顧客体験を損なわない方法がっかりしないDX 小売業の新時代(2/3 ページ)

» 2024年02月01日 07時00分 公開
[郡司昇ITmedia]

 さて、小売業側の目的である省人化という視点で見るとどうでしょう。多くのセルフレジコーナーでは4〜6台に1人以上の従業員が管理画面と、レジで困っている客がいないか、不正行為をする客がいないかといった見る作業に大忙しの様子を見かけます。エラーなどが発生する度にサポートに行くので、なかなか大変な仕事です。

 セルフレジは、来店客にとってレジに並ばなくていいという利点はありますが、使いにくい場合は空いていてもセルフレジを使わない来店客は多いものです。

セルフレジで4回も二重スキャン どこに問題が?

 とあるチェーン店が改装によりセルフレジを導入しました。筆者が使ってみたところ、15品スキャン作業をする間に4回もダブって登録されることがありました。その都度店員に修正してもらい、最後に「こういうことよくあるんですか?」と尋ねたところ、「そうなんですよね〜。しょっちゅうなります。スキャンしたらすぐにパッケージを裏返してバーコードを隠して袋詰めしてもらえると……」とのことでした。総菜など裏返すのに抵抗のある商品もあるわけですが……。

写真はイメージ

 そのレジは、多くのチェーン店で導入されているレジベンダーのハードウェアだったため、スキャナーなどハードの問題ではなく、ソフトウェアの問題だと考えられます。POSレジシステムにおいて二重スキャンを防止するためには、プログラム上の工夫がいくつも考えられます。

 最も基本的な方法は、各スキャンのタイムスタンプを分析して短時間(1〜数秒)内の連続した同一コードは登録しないというものです。このスーパーの場合はここの閾値設定を考える必要があります。

 他にも、スキャンごとに視覚的または音声的な確認信号(「同一コードです」など)を出す方法があります。同じコードを続けてスキャンした時に普段より高い音が出るのもこういった工夫です。

 同一商品の連続スキャン回数に制限を設ける方法もありますが、これは使い勝手との妥協点を探ることになるのでイマイチです。今の技術であれば機械学習を用いてスキャンのパターンを認識し、二重スキャンを警告することも有効です。

 ユーザーインターフェースを明確に設計し、画面で重複を容易に識別できるようにすることも必要です。この際に買い物に不要な情報が画面に出ているのは不適切です。

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