「山の上ホテル」2月に休館 その後はどうなる?予約が殺到(1/3 ページ)

» 2024年02月04日 06時00分 公開
[産経新聞]
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 三島由紀夫、川端康成など多くの文豪が執筆活動のために泊まり込みで作品を書き上げた場所として知られる「山の上ホテル」(千代田区神田駿河台)が建物の老朽化のため、今月13日から当面の間、休館する。「食」「おもてなし」にこだわり、日本のクラシックホテル黎明期から続く創業70年の老舗。休館を発表した昨年10月以降、多くの予約が殺到し、連日訪れる利用客が「最後」のひとときを味わっている。

photo ホテルの外観は「アール・デコ様式」が特徴だ。休館が決まった後は、建物前で記念撮影をしている人の姿もみられた=1月29日、千代田区神田駿河台

和洋折衷的装飾も

 休館まで2週間ほどに迫った日の昼下がり、平日にもかかわらず多くの人が宿泊や建物内にある飲食店を訪れるため、外まで行列ができていた。左右対称で階段状になっている特徴的な外観を背に、記念撮影をしている人の姿もみられた。

 建物は昭和12年、衣食住など生活力向上を目指す教育事業の拠点「佐藤新興生活館」として建てられた。設計を手掛けたのは、日本で多くの西洋建築を残した米国出身の建築家、ウィリアム・メレル・ヴォーリズで、1920年代にフランス・パリで生まれた直線的でモダンなデザイン「アール・デコ」が特徴。それだけでなく、和洋折衷的装飾も用いられた。

 先の大戦中は旧日本軍が使用し、戦後は連合国軍総司令部(GHQ)の傘下に。接収解除後の29年、創業者の吉田俊男氏が、当時の愛称「HILL TOP HOUSE」を意訳した「山の上ホテル」として開業した。

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