具材を入れて、ご飯を握るだけ。作り方は簡単なのに、奥が深く、食べ飽きない「おにぎり」は、コロナ禍が落ち着いて以降、専門店の出店が相次ぐ。人気を集めるのは、丁寧に下ごしらえされた具をぜいたくに盛り込んだ「ごちそうおにぎり」。家で握った素朴なおにぎりと並び、人々の心と胃袋をとらえている。
東京・新宿。昨年1月に開店した専門店「おにぎりまんま」は、一見、近所の懐かしいすし店のようだ。おにぎりを握る職人を囲むようにカウンター席があり、目の前にはネタケース。中には梅、タラコ、シャケ、まぐろ角煮、卵黄…さまざまな具材が容器に入って並ぶ。メニューにあるのは55種類。ほかに、具材が入らない「具なし」や「ノリだけ」も注文可能だ。
「2種類の具材を1つのおにぎりに入れる“トッピング”もできるので、1600種類以上の味の組み合わせが楽しめますよ」とは店主の橋本信伍さん(45)。ファッション業界から転身し、東京・大塚のおにぎりの名店「ぼんご」で10カ月間修業して開業した。
おにぎりとは言うものの、握らない。三角形の型にご飯をのせ、具材をたっぷり盛る。上からさらにご飯をのせてひっくり返し、塩をつけた手で優しくまとめ、最後にノリで包む。
しそ昆布とおかかの組み合わせで注文。およそ1分で、笑顔と両手を添えて「どうぞ」と差し出されたおにぎりは、ふっくらやわらか。かみしめたご飯が口の中でほろほろとほどける。1個でおなかも心も満たされた。
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