ローソン、TOBのメリット享受できるか(1/2 ページ)

» 2024年02月06日 19時17分 公開
[産経新聞]
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 KDDIは6日、コンビニ大手のローソンに株式公開買い付け(TOB)を実施すると発表した。ローソンの株式50%を保有する三菱商事以外の一般株主から残り50%の株式を買い取る。経営統合で迅速な意思決定を行い、物流の効率化やデジタルと実店舗の融合を進める狙いという。コンビニ業界では、2020年に同様の理由で伊藤忠商事がファミリーマートをTOBで完全子会社化している。だが、TOBで必ずしも思い通りにメリットを享受できるとはかぎらない。

「敵対的」は失敗多く

 TOBは「Take(テイク) Over(オーバー) Bid(ビッド)」の略で、企業が他の企業の経営権を取得するために、幅広い株主から株を買い集める手法だ。取引所を通さずにまとめて株式を購入する場合、公開して買い付けするよう義務付けられる。

 TOBには、株式を買収する側と買収される側が同意して行う「友好的」TOBと、買収される側の同意を得ずに、一方的に不特定多数の株主から株式を買い集める「敵対的」TOBがある。合意形成を経ずに推し進める敵対的TOBは、対象企業の反感を買いやすく、国内ではTOB不成立に終わったり、狙った効果が得られないなど失敗例が多いとされる。

 今回のKDDIによるローソンへのTOBの場合、買収する側される側の両社、ローソンの親会社の三菱商事の3社が合意しており、友好的TOBとされる。すでにローソンはスマホ決済事業でKDDIと提携するなど協業を進めており、今後はKDDI主導でデジタル化のさらなる推進を図るとみられている。

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