リベンジ消費やインバウンド復活だけじゃない 三陽商会、ワールド、オンワード アパレル各社の「V字回復」戦略長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/6 ページ)

» 2024年02月09日 12時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

 店の前と内部にカメラを設置して、通行量と入店者数を測定。通行量が増える時間帯には店の出入口に目を引くようなタペストリーを設置して、売り上げが向上している。タペストリー設置時にはシフトに入る人を増やして接客により注力するなど、仕事の割り振りをデータに基づいて組み直して、成果を上げている。

 このような客観的データに基づいた施策が、オンワードホールディングスの好業績を支えている。

 今回紹介した各社に共通する取り組みとしてOMOの推進が挙げられる。OMOは店舗とECを連動させた施策で、実店舗を持つアパレル側からすれば、EC専門業者との差別化要因として重要なものだ。

 たとえば、来店者が気に入ったブランドの服で、欲しいカラーの在庫がなかったとき、ECに誘導して購入を促すといったことも可能だ。店で試着した服を、スマートホンからECで購入して、持ち帰らなくても手ぶらで帰宅することもできる。

 三陽商会では23年9月、ブランドごとに点在していたブランドサイトとECサイトを統合し、「SANYO ONLINE STORE」をオープンした。ECサイト上のブランドの発信力を強化するとともに、顧客とのタッチポイント一元化。オンラインストア上でのブランド間の回遊性を向上させた。

 しかも、店舗及びEC上の在庫を、指定の店舗に取り置き、試着・購入ができるサービス「TRY & PICK(トライアンドピック)」を新たに実装。実店舗とオンラインストア、双方の買い回りを促進し、相互利用率アップを狙っている。

サンヨーオンラインストアのトップページ(出所:三陽商会公式Webサイト)
三陽商会が始めた店舗試着サービス、TRY&PICK

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