リベンジ消費やインバウンド復活だけじゃない 三陽商会、ワールド、オンワード アパレル各社の「V字回復」戦略長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/6 ページ)

» 2024年02月09日 12時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

「サンヨースタイルストア」を積極的に出店

 今期に入ってからの3社の動向は、順調なのか。直近の決算をチェックしていこう。

 三陽商会の24年2月期第3四半期は、売上高約446億円(前年同期比6.4%増)、経常利益約17億円(同52.4%増)と好調をキープしている。決算短信によれば、好調の要因として「主力の百貨店を始めとする実店舗への集客が回復したこと、10月下旬以降の気温低下とともに、初動が遅れていたコート、アウター類がようやく稼働し始めたなどにより、ほぼ想定通りの売上高を確保することができた」と分析がなされている。

 新規事業で三陽商会が推進しているのは、婦人服の複合型コンセプトショップ「SANYO Style STORE(サンヨースタイルストア)」の推進だ。23年3月、富山市の百貨店「大和」に1号店をオープンした。

サンヨースタイルストア藤崎本店(出所:プレスリリース)

 三陽商会が主力ターゲットとしているアッパーミドル向けの婦人服4ブランド「AMACA(アマカ)」「TO BE CHIC(トゥー ビー シック)」「EVEX by KRIZIA(エヴェックス バイ クリツィア)」「TRANS WORK(トランスワーク)」を集め、季節ごとに各ブランドの主力商品を集積。顧客の日常のシーンに合わせてブランドの垣根を超えたさまざまな商品、コーディネートを提案。地方百貨店に4ブランド全てのショップを置くのは難しく、確保できたとしても収益を出しにくい。しかし、セレクトショップ化することにより、1つの売場で効果的に見せることは可能と考え、地域特性に合わせた臨機応変な品ぞろえを試みている。

 サンヨースタイルストアの店舗では、不要になった羽毛製品を回収して羽毛をリサイクルする「グリーンダウンプロジェクト」としてサステナブルな取り組みにも注力する。同年8月には仙台市「藤崎本店」に2号店、同年10月には大阪府高槻市「高槻阪急スクエア」と兵庫県西宮市「西宮阪急」に3、4号店と、続々に店舗をオープンしている。

サンヨースタイルストアの羽毛製品回収ボックス(出所:プレスリリース)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.