変革の財務経理

インボイス制度「登録番号は確認しないとダメなの?」 経理が見過ごしがちな“登録取り消し”のワナ

» 2024年02月09日 08時00分 公開
[西田めぐみITmedia]

 2023年10月に始動したインボイス制度。本制度により、経理業務は今まで以上に煩雑化している。主な要因は「適格請求書発行事業者の登録番号」だ。経理担当者には、請求書に登録番号が入っているか、そして番号が正しいかを確認する作業が新たに発生した。

 登録番号を持っている企業は、適格請求書発行事業者――つまり課税事業者ということになる。インボイス制度の導入に伴い、免税事業者から課税事業者になって番号を取得した個人事業主も少なくない。しかし「注意したいのは、番号を取得後に登録を取りやめる事業者もいることだ」。こう話すのは、ITmedia主催のオンラインイベント「デジタル戦略EXPO」に登壇した、経理がよくなる 代表であり税理士の児玉尚彦氏だ。

photo 講演する児玉氏

 同氏によると「取引先から適格請求書発行事業者に登録してほしいという依頼を受けて、番号を取得したという個人事業主は多い。しかし23年12月現在で3万もの事業者がすでに登録を取り消していることが分かっている」という。

 こういった事業者がフォーマットを修正することなく、すでに取り消されている登録番号を記載した請求書を発送するといった人的ミスを起こすことは十分考えられる。このような事情もあり、経理は登録番号の有無だけではなく有効性も確認してから仕分けを入力する作業が必要になる。

 番号が掲載されていなかったり、有効でなかったりした場合は免税取引として処理をすることになるが、ここで新たな注意事項が出てくる。経過措置だ。

 「登録番号がない請求書は全て仕入税額控除をさせないというわけではない。当初の3年間(23年10月〜26年10月)は80%控除、次の3年間(26年10月〜29年10月)は50%控除、その後は0%といった形で控除割合が変わる。そのため経理は、取引の日付を見て控除割合を判定する作業も必要になる」(児玉氏)

 では、法制度による経理業務の煩雑化を解消するにはどうすればいいのか? 詳細はデジタル戦略EXPO(2月25日まで)の「経理DX」カテゴリーに登壇した児玉氏の基調講演をぜひチェックしてほしい。


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