マツダ・ロードスターの大改変 減速で作動するアシンメトリックLSDの狙い：池田直渡「週刊モータージャーナル」（7/7 ページ）

[池田直渡，ITmedia]

特に恩恵が大きいロードスターRF

　さてこのアシンメトリックLSDはロードスター“S”を除く（RFも含む）すべてのグレードのMTモデルに組み込まれている。要するにATには付かない。SはLSDなし、つまり、拘束なしでするりと姿勢がほどけるオープンデフの良いところを味わってもらうためにあえて装備しない。“素”を楽しめるモデルとして残してある。

　デフ以外の部分も含めて、もちろん全てのモデルが良くなったのだが、特に恩恵を感じたのは、意外にもロードスターRFだった。2リッターエンジンとリトラクタブルルーフの重量を抱えるRFは、不穏な動きの威圧が他のモデルより高い。それゆえにこのコントロールし切れる安心感はRFの持つ、「ロードスター一族中のGT」という素養をより輝かせているように思えた。

2リッターエンジンとリトラクタブルルーフを備えるロードスターRF

プロフィール：池田直渡（いけだなおと）

　1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ（現ネコ・パブリッシング）入社。取次営業、自動車雑誌（カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパン）の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミュニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。

　以後、編集プロダクション、グラニテを設立し、クルマのメカニズムと開発思想や社会情勢の結びつきに着目して執筆活動を行う他、YouTubeチャンネル「全部クルマのハナシ」を運営。コメント欄やSNSなどで見かけた気に入った質問には、noteで回答も行っている。