では、そんな風に「日の丸半導体」をはじめ世界の主たる半導体プレーヤーたちが製造拠点として重宝したマレーシアは、この40年でどうなったのか。岸田政権が思い描くシナリオのように、外資系企業との提携で技術移転が進んで、「国産半導体企業」が成長したのかというと残念ながらそうなってはいない。
2000年代に入り、日の丸半導体が衰退。入れ替わりに韓国や台湾が台頭していくと、日本に歩調を合わせるようにマレーシアも「東洋のシリコンバレー」の座から転落した。
ただ、日本の半分程度の低賃金や、外資半導体メーカーの前工程などの製造拠点が多いシンガポールと近いという地政学的な強みもあって、現在も米インテル、独インフィニオン・テクノロジーズ、米テキサス・インスツルメンツなどが拠点を構え「最終工程」の中心地として地位を確立している。実際、半導体の「輸出国」としては世界6位の位置に付けており、日本より上位だ。
だが、韓国のサムスン電子や台湾のTSMCのような自国の大手メーカーは生まれていない。半導体バッケージングや検査サービス企業は生まれたが、世界的シェアというほどでもない。
ここまで言えば、筆者が何を言いたいのかお分かりだろう。
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