今年のアパレル業界は、暖冬の影響から各社とも決算数字ほど好調とは言い難い。増益基調は原材料の高騰による値上げからくるもので、客数や買い上げ点数が伸びていないという、根本的な問題を抱えたままだからだ。
その一方、コンビニでアパレル商品が売れているという。ファミリーマートが展開する「コンビエンスウェア」の売れ行きは好調で、2023年11月末にはコンビニ初となるファッションショーを開催した。
ローソンは1月16日から、人気セレクトショップ「FREAK’S STORE(フリークス ストア)」とコラボした「インスタントニット」を発売した。ZOZOTOWNのショップでは、「差し色」と呼ばれ在庫リスクが高いピンク、ブルーといったシーズンカラーが全サイズで完売。2月13日に再販分が追加されるほどの人気となった。なぜ、コンビニで扱われるアパレル商品がこれほど人気なのか考えてみよう。
コンビニで扱われるアパレル商品で注目を集めた代表例は、21年にスタートしたファミリーマート「コンビニエンスウェア」だろう。創業から販売してきた無印良品の取り扱いを19年1月末でやめ、20年の伊藤忠商事による完全子会社化と同じくらいのタイミングで生まれた取り組みだ。
伊藤忠商事は、繊維、食料、住生活、機械といった非資源分野に強い総合商社で、アパレルではブランド事業が中心といった印象がある。実のところ、これらのほとんどが伊藤忠商事の繊維カンパニーが担当しており、コンビニエンスウェアを納入しているのは伊藤忠リーテイルリンクだ。同社は、エネルギー・化学品カンパニーという別カンパニーの傘下企業で、主に量販店向けに日用品、雑貨などを販売している。
こうした伊藤忠グループとの取り組みの特徴が出ているのは、主に素材選定の面だろう。例えば、使い終わった古着や工場での生産時に出た、残反や裁断くずから生産されたリサイクルポリエステルのRENU(レニュー)を採用。その他、旭化成の冷感・吸放湿機能素材のPaircool(ペアクール)、オーガニックコットン素材など、コンビニ衣料でありながら、着心地の良さと環境に配慮した素材を使っている。
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