これは「若手社員がどんどん辞めていく」という問題の本質を突いているのではないか。
経営も安定して、社会的評価も高いホワイト大企業を、なぜ入社したばかりの若手社員が相次いで去ってしまうのかというと、「自由が失われる」からだ。この会社にいると安定は得られるが、学生時代に思い描いた自由な発想や行動ができない。とにかく組織の「型」や「ルール」に縛られて、成長が感じられない。だからさっさと見切りをつける。
となると、やはり若手社員に対しても「不安定」を創り出すべきではないか。この会社はちっとも安定しているわけではなく、「あなたたちが頑張ってくれないと十年後にはなくなっているかもしれない」という危機感を抱かせる。だから、生き残るためには現状維持ではなく、どんどん新しいことをしなくてはいけない。上司や会社から言われたことだけをやっていたら「おしまいだ」ということで、優秀な若手たちが自発的に動くようになる。
そこで重要なのは「安定」「安心」につながるようなものをやめていくことだ。年功序列や終身雇用はもちろん、意味のない慣習や、無駄な仕事(ブルシット・ジョブ)もなくす。ここをしっかりやらないと、若手は「ヤバい、ヤバいっていうわりに、あんな意味のない仕事をみんなでやっているなんて、なんだかんだいって、ウチの会社はまだまだ安泰だよな」と気が抜けてしまうのだ。
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