優秀な若手がどんどん辞めていくが、「社内運動会」をやっても防げないワケスピン経済の歩き方(6/6 ページ)

» 2024年03月06日 08時30分 公開
[窪田順生ITmedia]
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業務扱いの「社内運動会」は「大企業病」そのもの

 そう考えると、社内運動会はやはりよろしくない。皆さんはパナソニックのように、社内運動会が「業務扱い」で交通費まで支給される会社の話を聞いてどう思うだろうか。

 死ぬまでパナソニックにしがみついて生きていこうという若手からすれば、これほど魅力的で安定した会社はない。しかし、一方でそういう会社は安定しているがゆえ自由が失われる、活発さもない。それはまさしく松下幸之助が指摘した「大企業病」そのものである。

 パナソニックに限らず近年、社内運動会のニーズは増えてきているという。

 出勤扱いで運動会ができるとなれば、ほとんどのサラリーマンは楽しく盛り上がれるだろう。親睦も深まるし、交流も盛んになるので、終了後にアンケートを取れば参加者からは「楽しかった」「またやってほしい」と好意的な答えが返ってくる。

 というわけで、経営陣や人事担当者は社員運動会に流れがちだ。ただ、実はそれは松下幸之助がいう「安定しているけれど安定させない」とは真逆のことなのだ。

 もしかしたらウチも「大企業病」に陥っているのではないか――。このような心配をしている会社は、本当にそれは社内運動会でなければ解決できない課題なのかを立ち止まって考えてみるのはいかがだろうか。

窪田順生氏のプロフィール:

 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル

 近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受


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