半導体に沸く熊本、高賃金の黒船襲来 給料を上げるには?産業創出という打ち出の小槌 (4/5 ページ)

» 2024年03月09日 18時34分 公開
[産経新聞]
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日本の賃金、先進国で最低グループ

 令和6年春闘の賃上げ率は民間エコノミストの予測平均値で3.85%となり、実現すれば30年ぶりの上昇率だった昨年(3.60%)を上回る。

 バブル崩壊後、30年以上も低迷を続けたことで先進国でも最低グループに入った日本の賃金。それがようやく動きだしたのは、世界的な経済構造の転換が影響している。

 米中対立やウクライナ危機による世界経済の分断でグローバル化の流れが反転し、経済効率より安全保障が優先される時代がきた。貿易障壁の高まりでエネルギーや原材料の取引コストが上昇。新型コロナウイルス禍で起きた高齢者の退職による人手不足も重なり、人件費が上昇した。コストプッシュという“外圧”が一時的に物価を引き上げ賃上げを促した形だ。

 だが、いわば強制された賃上げは物価上昇の勢いに届かず、懐の寂しさが消費を冷やしている。これをいかに内需の拡大が供給を上回る安定した物価上昇と賃上げに持っていくかが課題になる。

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