AIで「業務のムダ削減」のリアル――Copilotは役に立つ? DX基盤って必要? 気になる「疑問」を解消してきた

» 2024年03月18日 10時00分 公開
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 「会議までに業界動向をチェックしないと」「プレゼン資料を作る時間がない」「議事録を書くのって私の仕事なの?」「Excelの関数とか分からないよ」――あぁ、誰かが代わってくれないかな……。

 ビジネスパーソンなら誰もが一度は頭に浮かべるこうした悩み。しかし、目の前にある難しい仕事や面倒な作業は、ボタンを1つ押せば完了する日がすぐに訪れるかもしれない――そう、生成AIを使えばね。

 AIを活用することで業務を効率化できるといわれている。企業の関心も高く、日本企業の大半を占める中堅・中小企業がDXに期待する効果として挙げた第1位が「業務の効率化」、第2位が「コストの削減」、第3位が「データに基づく意思決定」だった(出典:中小企業基盤整備機構「中小企業のDX推進に関する調査(2023年)」)。

 しかし、それは本当だろうか。人間の仕事をAIに任せるのはまだ早いのではないか。そこで「AIではじまる、DXのあたらしいかたち。」というテーマで大塚商会が主催したイベント「実践ソリューションフェア2024」に参加してAIの可能性を探ってきた。

photo 実践ソリューションフェア2024では、AIのビジネス活用について特設ステージで解説していた

「生成AIを使うべき理由」が分かると、使い方が見えてくる

photo 日本マイクロソフトの西脇資哲氏(業務執行役員 エバンジェリスト)

 「ChatGPTなどの生成AIが登場して、歴史に新たな1ページが刻まれました。AIが一般化、大衆化、民衆化したのです。小学校で使ってもいいかどうか議論する段階になっています。それを一般企業が使わないのはおかしいですよね」――生成AIのインパクトをこう伝えるのは、日本マイクロソフトの西脇資哲氏だ。

 大衆化したAIという技術を使わないのは、スマートフォンを使っていないに等しいと西脇氏は訴える。膨大なデータを学習した生成AIは、人間の専門家と遜色ないレベルの能力を身に付けた。ChatGPTなら何カ国語も扱えて、米国の医師免許試験や司法試験、MBA(経営学修士課程)の最終試験で合格するレベルに達している。


 「私が経営者ならこんな優秀な人材を雇いたいですが、現実にこんな人はいませんよね。でも生成AIを導入すれば、全従業員がこの能力を使えるのです」(西脇氏)

 企業の現状を見るとプログラミングができる人、資料作成が得意な人、品質管理に長(た)けた人など従業員のスキルがバラバラなので、各自が力を発揮して連携する必要がある。生産性が高いとは言えない。しかし生成AIを使えば全員のスキルを均一化できる。世界中の知識を集約した秘書を相棒に、個人がパフォーマンスを最大限に発揮できるようになるのだ。

 「自動車業界の動向を整理して報告する」という業務があるとする。これまでは調査力と要約力、作文力、ワープロ力に優れた人が“デキる人”だった。しかし生成AIがあればプロンプト(指示文)を入力するだけで高品質なレポートの土台を作成できる。業務の目的が分かっていれば、スキルがなくても誰でも高いレベルで目標を達成可能になる。

生成AIをうまく使うコツ プロンプト例を紹介

 生成AIを使ってみたけど大して役に立たなかったという経験がある人も多いだろう。生成AIを使うコツは「対話」だと西脇氏は力説する。何度も指示を出して会話を重ねることで、求めるものが出来上がる。人間のデザイナーにイラストを発注するときも、1回のやりとりだけで最高品質の納品物が送られてくるわけではない。AIとの丁寧な対話が重要だ。

 どのようなタスクを生成AIに振ればいいのだろうか。要約やテキスト分析、翻訳、添削、アイデア出し、プログラミング、情報の検索――さまざまな用途があるが、列挙していない業務には使えないというわけではない。西脇氏は「聞く」「依頼する」に分類できる業務はあらかた生成AIに頼めると説明する。「◯◯の作り方は?」「◯◯を要約して」などだ。すると日常業務の大部分に生成AIを適用可能だと分かる。

 生成AIをうまく使うポイントは指示の仕方だ。日本人は暗黙のルールに頼って仕事をしているので、具体的な指示をするのが苦手な傾向にある。西脇氏は「プロンプトを制する者が生成AIを制する」としてプロンプトに「役割」「ゴール」「対象」「出力形式」を含めるといいと紹介した。

プロンプト例

あなたは法律の専門家です。


法律の専門家として万引がどうして犯罪なのかを説明してください。


対象は小学生です。小学生でもわかるようにしてください。


200文字に収まるように文にしてください。


photo 生成AIを活用するプロンプト例(西脇氏の講演資料より)

Officeアプリ×生成AIで業務効率化? 「Copilot for Microsoft 365」

 ポイントを押さえて使えば、生成AIは仕事の優秀なパートナーになる。そんな世界観を描いているのが米Microsoftの生成AI「Copilot」だ。「副操縦士」を意味する単語で、あくまでも人間の業務を手助けする役割という位置付けだ。Microsoftはユーザーのデータを勝手に利用しないと宣言しているので、ガバナンスの観点で強みがある。

 そのCopilotを、WordやExcel、TeamsなどのOfficeアプリと連携して使えるサービスが「Copilot for Microsoft 365」だ。普段使う業務アプリで生成AIを使えるので、生産性を向上させられるとうたっている。

 果たして、本当に業務の効率化につながるのか。

photo Copilot for Microsoft 365でできること(西脇氏の講演資料より)

業務時間を月42時間も削減 大塚商会のリアルな使い方

 Copilot for Microsoft 365は正式リリースから日が浅いので、実績を目にする機会が少ない。しかし、大塚商会はリリースの2カ月前からCopilot for Microsoft 365を利用しているという。その使い方をチェックしよう。

photo 大塚商会の高口渉氏(クラウド基盤プロモーション部 ※高ははしごだか)

 結論から言うと、大塚商会の300人で検証したところ1カ月当たり約3営業日分の業務改善効果があったという。対象者の業務の約60%がCopilot for Microsoft 365を適用できる内容で、1カ月間で約42時間に相当する。それがCopilot for Microsoft 365導入後には1カ月間で約15時間に短縮した。削減率は65%に上る。利用が多かった業務は、頻度が高い順に資料作成、会議のサポート、情報収集、メール作成だった。

 大塚商会はCopilot for Microsoft 365をどのように活用したのか。「社内で一番のヘビーユーザー」だと話す同社の高口渉氏(※高ははしごだか)がデモンストレーションを交えて紹介した。

調べ物

 高口氏が最初に披露したのが、検索サービス「Bing」にCopilotを組み込んだ「Copilot(旧称:Bing Chat Enterprise)」の利用シーンだ。「大塚商会が取り扱う商材の情報をまとめる」というお題をCopilotに出すと、わずか1分10秒で導入メリットや価格などを6段落にわたって整理した。

 続いて高口氏自身が同じ作業に挑戦したところ、公式Webサイトを見て情報をWordに転記して……と作業をしているうちに6分が経過。約400文字まで書き進めていたが、作業時間も情報量も、誰の目にもCopilotの圧勝だった。

photo Copilot(旧称:Bing Chat Enterprise)の利用イメージ(高口氏の講演資料より)

資料作成

 気を取り直して、いま調べた情報をPowerPointにまとめる。PowerPointで資料を作るときは「調査→情報の整理→スライドに下書き→見栄えなどを整える」という手順を踏む。どのスライドに何を入れるかが、意図するメッセージが伝わるかどうかを左右する大切な工程だ。高口氏は試行錯誤しながら約15分かけて6スライド分の下書きを完成させた。

 Copilot for Microsoft 365はというと、PowerPointにある「Copilotボタン」を押して参照する情報を指定すると2分足らずで作業終了。レイアウトの調整やイメージ画像の生成まで終えた。しかしデザインの統一感はない。

 「Copilotのスライドをそのまま使うわけではありません。『どのスライドに何の情報を載せるか』という下書きとして使えるんです。スライド下部のメモ欄に、Copilotが参照した情報が記載されているのでそれを見ながらスライドを整えるのが効率的です。イメージと違うなら再生成すればいいだけです」(高口氏)

photo Copilot for Microsoft 365の利用イメージ(高口氏の講演資料より)

データ分析

 Copilot for Microsoft 365はExcelでのデータ分析にも対応している。倉庫の入出荷管理シートを開いてCopilotボタンを押して「入荷量が上位5件の商品を教えてください」というプロンプトを入力すると、すぐに表が生成された。

 知らない関数を調べる手間も短縮できる。ExcelのCopilotに「商品コードと商品名を1つのセルに表示させる関数を教えて」と入力すると、即座に関数と説明を返してくれる。そのまま「挿入」を押せばセルに反映される。

 関数やピボットテーブルを操作することなく資料に使える分析や表が完成するので、日常業務の負担を減らせるだろう。

 高口氏の使い方を見ると「生成AIで業務効率化」といわれている中身は、全てをAIに丸投げするのではなくAIと協業するものだと分かる。まさに副操縦士の使い方だ。Copilot for Microsoft 365は紹介した以外にもメール文面の作成やTeams会議の議事録作成など、さまざまな業務で活躍する。

 Copilot for Microsoft 365を利用するには、専用ライセンスの契約が必須だ。通常は年額払いなのだが、大塚商会を経由すれば月額払いにできる。講演時点で、国内では大塚商会だけが月額払いに対応しているという。短期間の契約も可能なのでテスト導入に適している。大塚商会での活用ノウハウを基に導入や運用を手伝う「Copilot for Microsoft 365 まるごと支援サービス」も提供している。

まだまだある“ムダ業務” DX基盤で解決できるか

 生成AIを使うことで業務が効率化するとはいえ、まだまだ面倒な作業は山積みだ。社内稟議(りんぎ)の申請や商談データの入力など、手間が掛かるけれども無視できない業務が存在している。これらをどうにかできないものか。

 実践ソリューションフェア2024で見つけたのが、大塚商会が提供する「DX統合パッケージ」だ。販売管理や財務会計、人事給与などの基幹系システム「SMILE」と、申請承認ワークフローや電子帳簿保存法に対応したドキュメント管理機能、コミュニケーションツールなどの情報系システム「eValue」を融合したもので、「業務をつなげる」をコンセプトに情報共有や業務効率化を実現できる。新たに営業支援を担うモジュール「セールスマネジメント」も実装したことで、営業の商談現場からバックオフィスまで全社レベルでデータがつながる。

 統合データベースで商談や取引、財務、人事、申請などの各データを1カ所で管理できるので、データに基づく迅速な経営判断がしやすく、強固なDX基盤を構築することができる。

 DX統合パッケージで社内外の定量データと定性データを蓄積すればデータ活用に生かせる。大塚商会が取り扱うデータ分析AI「dotData」と連携することで、確度が高い営業先の提案や売り上げ予測などが可能だ。dotDataは、タスクを自動化することでデータサイエンティストに頼らずに高度な分析ができる。大塚商会も利用しており、案件の成約率を約5%上げることに成功した。

photo DX統合パッケージを紹介するステージ。営業現場や経費精算などの具体的な業務シーンを想定したデモンストレーションが披露された

 「生成AIって本当に役に立つの?」という疑問を出発点にして実践ソリューションフェアを巡ってきた。AI活用の目的を定めた上で、ポイントを押さえて使えば業務効率化に貢献すると分かった。

 AIの価値を引き出すにはコツや作法がある。すでに生成AIを使って成果を挙げている企業にアドバイスを仰げば、たまった知見を教えてくれるだろう。大塚商会はCopilot for Microsoft 365の活用で先進的な取り組みを進めている。そのノウハウに頼りたいとき、導入や運用に悩んだときはぜひ同社に相談してはいかがだろうか。

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提供:株式会社大塚商会
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