「iPhone」と「Android」の違いは何か エコシステムで考えるビジネスモデルが分かる(4/5 ページ)

» 2024年03月21日 09時13分 公開

エコシステムの成立条件

 エコシステムを成立させるには何よりも「いかにして補完事業者をエコシステムに引きつけるか」が重要です。補完事業者の参加なくしてエコシステムの構築は不可能です。このことを前提として、ここでは、プラットフォーム事業者による補完事業者のマネジメント上の要諦をいくつか整理します。

(1)オープン化と補完事業者のマネジメントの程度

 プラットフォーム事業者として、エコシステム内で必要となる製品をどこまで補完事業者に頼るか、または、自社は何に集中するのかの意思決定が必要となります。

 例えば、iPhoneのエコシステムにおいては、補完品であるスマートフォンの製造やアプリストアの運営はAppleによってクローズドに行われていますが、Androidでは他社( 補完事業者 )にオープンにされています。

(ゲッティイメージズ)

(2)インセンティブの提示

 補完事業者をエコシステムに引きつけるにはインセンティブが必要です。最もわかりやすいのは金銭的なインセンティブです。例えば、自転車シェアを扱うMobikeは、テンセント陣営に入ることで、テンセントのユーザーの取り込みやWeChat Payを用いた決済の簡便化による収益の拡大が見込めます。

 他方で、金銭的なインセティブのみならず、利用者の無償の参加意欲を刺激したり、補完事業者に当該エコシステム全体の社会的意義を示したりすることも必要となります。例えば、アプリを開発する技術者にGoogle Playを通じて自分のアプリが世界に広まることへのやりがいを示したり、テンセントのエコシステムに参加するECサイトに中国市場の発展の未来を示したりすることがそれらに該当します。

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