では、これらの国のせいでサンマがいなくなったのかというと、それは違います。これは毎年調査されている資源量に対して、外国船も含めた漁獲の割合が多くなかったことが物語っており、先述の研究員も同じ見解を示していました。
つまり、2010年代後半からのサンマの減少については、ひとまず、海洋環境の変動によるということが濃厚です。ただ、ここからの話は違います。
サンマが減ってきたにもかかわらず、同じように獲り続けていれば、漁獲の割合はだんだんと多くなっていきます。するとそれがサンマの減少に拍車をかける事態になり、さらには長い間サンマが増えない事態にもつながりかねません。
ここで大事なのは、同じサンマの資源を獲っている人たちが、全員で示し合わせて獲る量を調整することです。現在、その国際的な話し合いは、日本、中国、台湾、ロシアなどが集まる「北太平洋漁業委員会(NPFC)」で行われています。そこでは、「海域全体で2023〜24年の年間漁獲量を22年に比べて約25%削減する」などといったことが合意されています。
サンマの資源が自然に増えることは、これまでの歴史が物語っています。自然条件が整い、その時が来れば、また増えてくることでしょう。しかし、その前に漁獲圧を下げられずに獲り尽くしてしまえば、回復にも時間が掛かると思われます。
「サンマが食べられなくなるかどうか」はその調整次第、というのが実際のところでしょう。
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